102歳で逝去。佐藤愛子さん「九十歳。何がめでたい」が、なぜ時代を超えてこれほど愛されたのか
「死ぬまで書くことはない」からの大逆転劇
2024年に102歳でその生涯を閉じた作家・佐藤愛子さん。彼女の代名詞とも言えるのが、2016年に出版され、翌年の年間ベストセラー1位を記録したエッセー「九十歳。何がめでたい」です。人生の集大成として書いた長編小説「晩鐘」を終え、一度は断筆を決意していた佐藤さん。しかし、のんびりとした隠居生活に馴染めず鬱々としていたところ、編集者からの熱烈なオファーにより「半ばヤケクソ」で執筆を再開しました。「私を殺す気か」と毒づきながら始まった連載が、まさか日本中を熱狂させる社会現象になるとは、誰が想像したでしょうか。
「勇気をもらった」という声に、本人は困惑?
この本は多くの読者に「生きる勇気をもらった」と愛されました。しかし、当の本人はその反応にどこか不思議そうな表情を見せていました。「私は自分が思ったことを書いているだけ。なぜ勇気が湧くのかわからない」と、佐藤さんは当時インタビューで語っています。かつては独自の鋭い視点や物言いで顰蹙を買うこともあった佐藤さんが、時代を経て多くの人の共感を得る存在になったのです。「日本人がずいぶんと変わったんだなぁ」という彼女の言葉からは、飾らない本音の重要性が時代を超えて求められていることが伝わってきます。
自分らしく生きるためのヒントが詰まった一冊
飾らない、媚びない、そしてユーモアを忘れない佐藤さんの姿勢は、今の時代を生きる10代から30代の私たちにとっても大きなヒントになります。完璧を求めず、自分の気持ちに素直に生きる。そんな彼女の生き様が刻まれたエッセーは、今改めて読み返したくなる名著です。興味がある方は、ぜひ一度手にとってみてください。