人権を守る「戦略人事」の時代へ|海外赴任・外国人雇用の新常識とは
グローバル化で問われる「人事の役割」
近年の紛争や災害など、世界情勢は予測困難な状況が続いています。かつてのように「辞令で海外へ」という単純な時代は終わりを告げました。EY行政書士法人の木島祥登氏は、これからの人事部門には「人権を念頭においた戦略人事」が不可欠だと指摘します。ビジネスの国際化が進む今、企業は従業員やその家族の生活、そして多様なバックグラウンドを持つ社員の安全をどう守るべきなのでしょうか。
海外赴任は「家族のキャリア」もセットで考える
海外赴任に伴う課題は、本人だけにとどまりません。配偶者の現地就労希望や、子どもの教育環境など、家族のニーズを満たす配慮が求められています。木島氏は、「赴任者本人のモチベーションにも直結するため、家族の生活の質を下げないことが基本」と強調します。リモートワークを活用した「配偶者のキャリア維持」や、国際結婚・同性婚など多様化する家族の形態に合わせた避難計画の策定など、柔軟かつ緻密な準備が人事部門には求められています。
「有事の司令塔」は誰か?避難計画の具体化
紛争や災害発生時、誰が現地社員や出張者の安全をコントロールするのか、その「司令塔」をあらかじめ決めておくことが重要です。人事部門は、全社員の現在地だけでなく、ビザの有効期限や家族構成などのデータを一元管理しておく必要があります。また、短期間の海外出張者についても把握漏れがないよう、国際的な管理体制の構築が欠かせません。有事の際は、日本国内と同様のレベルで安全を守るという責任が本社にあります。
人権デューデリジェンスが企業成長の鍵に
今、世界中で重視されているのが、人権侵害リスクを特定・改善する「人権デューデリジェンス」です。労働法制への対応は、単なる法令順守にとどまらず、人権問題と直結しています。例えば、製造現場や事業部門が安易な対応をすれば、当局による厳しい処分を受け、外国人材の受け入れが停止されるリスクもあります。グローバル展開を目指す企業にとって、人権という視点から組織全体を見通せる「戦略人事」の重要性は、今後ますます高まっていくでしょう。
詳しくは、専門家の見解をまとめた