宮崎駿の映画はなぜ心に残るのか?赤坂憲雄が解き明かす「宮崎駿の詩学」の深淵
日本を代表するアニメーション監督、宮崎駿。私たちが子供の頃から慣れ親しんできたその作品群には、言葉では簡単に説明できない「根源的な何か」が流れています。民俗学者であり、宮崎作品を深く研究し続ける赤坂憲雄氏が、最新著書『宮崎駿の詩学』でその謎に迫りました。単なる作品解説にとどまらず、人類の「原風景」を読み解こうとする、この壮大な思想書の魅力に迫ります。
『ナウシカ』から『君たちはどう生きるか』へ。宮崎駿の思考が繋がった瞬間
赤坂氏は2019年に『ナウシカ考風の谷の黙示録』を出版し、漫画版と映画版の『ナウシカ』に潜む思想を分析しました。しかし、執筆後も「全てを解き切った感覚はなかった」と語ります。その答えが見えたのは、最新作『君たちはどう生きるか』を鑑賞した時でした。赤坂氏は、この二つの作品に通底する「神の視点で世界を創ることへの強い拒絶」という共通のテーマを見出しました。この発見こそが、宮崎駿という巨匠の思想全体を包括的に読み解く原動力となったのです。
個別の作品を超えて浮かび上がる「宮崎駿の曼荼羅」とは?
本作の最大の特徴は、作品単体を追うのではなく、「地・水・火・風・空」という自然の要素を軸に構成されている点です。赤坂氏は、宮崎作品に繰り返し現れるモチーフを繋ぎ合わせることで、まるで一つの大きな「タペストリー」のような世界像を浮かび上がらせようと試みました。実際、執筆中には「宮崎駿の曼荼羅」というタイトル案もあったほど、各作品が相互に響き合い、一つの巨大なイメージを形成しています。「宮崎作品は解釈に対して開かれている」と語る赤坂氏が、膨大な作品群の中から見つけ出した「人間はいかに生きてきたか」という問い。映画を観たあとのモヤモヤとした感動の正体を知りたい方は、ぜひ