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堺市で運営しているプログラミングスクールADVANCEの教室の様子

プログラミング教育におけるAIツール:学生の視点と利用動向を解説

📌 この記事の結論

  • AIツールの利用は2023年から2024年にかけて学生の間で大幅に増加し、特にChatGPTが主流。
  • プログラミング課題ではコード生成、デバッグ、コードの説明にAIツールが活用されている。
  • 学生のAIツールの利用に対する態度は、「完全に許可」から「部分的に許可」へ慎重な姿勢に変化している。
  • AIツールは効率性を高める一方で、出力の正確性、過度な依存、自律的思考能力の低下といった懸念が指摘されている。
  • 教育現場では、AIの利点を活かしつつ、アカデミックな誠実さと深い学習を両立させるバランスの取れたガイドラインと評価方法が求められている。

1. プログラミング教育におけるAIツールの影響

近年、生成AIツール(例:ChatGPT)の普及は、教育現場、特にプログラミング教育に大きな影響を与えています。AIツールは、コードの生成、デバッグ、説明など、プログラミング学習の多くの側面を効率化する可能性を秘めている一方で、学生の過度な依存や独立した問題解決能力の低下、さらにはアカデミック・インテグリティ(学術的な誠実さ)への懸念も引き起こしています。

本記事では、2026年に発表された「プログラミング教育におけるAIツール:学生の視点と利用動向(AI Tools in Programming Education: Student Perspectives and Usage Trends)」という論文を基に、学生がAIツールをどのように利用し、それに対してどのような認識を持っているのかを詳しく解説します。

この研究は、プログラミング教育におけるAIの現状を理解し、その課題に対処するための貴重な示唆を与えてくれます。ADVANCEのようなプログラミングスクールでも、これらの知見を踏まえて、より効果的な指導方法やガイドラインの策定に取り組むことが重要だと考えています。

2. 紹介する論文の概要

📄 論文情報

タイトル AI Tools in Programming Education: Student Perspectives and Usage Trends (プログラミング教育におけるAIツール:学生の視点と利用動向)
著者 Matija Novak, Marija Maček (ザグレブ大学組織情報学部)
掲載誌 Journal of Information and Organizational Sciences, Volume 50, Number 1 (2026)
研究対象 クロアチアの大学のコンピュータープログラミングを学ぶ学部生および大学院生182名(2024年調査)
研究期間 2023年と2024年の2年間(比較調査)

研究の目的

この研究の主な目的は、プログラミング課題を解決するためのAIツールの利用に関する学生の視点を探ることです。具体的には、学生がAIツールをどの程度、どのように利用しているか、そしてそのような利用の許容度に対する彼らの態度を分析しています。

研究の方法

研究は混合研究法を採用しており、2023年と2024年の2年間にわたって学生を対象にアンケート調査を実施しました。

  1. 調査対象:
    • 2023年調査:大学3年生と大学院生計84名。
    • 2024年調査:大学1年生(UL1)、大学2年生(UL2)、大学院1年生(GL1)計182名。
  2. 質問項目:
    • AIツールの利用経験(プログラミング課題および非プログラミング課題)
    • 具体的な利用方法(例:コード生成、デバッグ、説明)
    • プログラミング課題におけるAIツールの許可・制限に関する意見
    • AIツールの全体的な印象(利点と欠点)
  3. 分析方法:
    • 閉鎖型質問(はい/いいえ、選択式)には記述統計と推論統計(カイ二乗検定、オッズ比)を使用。
    • 自由記述質問には記述的テーマ分析を適用。

3. 研究結果のポイント3つ

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この研究から得られた主要な知見は以下の3点にまとめることができます。

✅ ポイント1:AIツールの利用が大幅に増加し、ChatGPTが主流に

2023年から2024年にかけて、学生によるAIツールの利用は顕著に増加しました。特にChatGPTは、2023年には回答者の約73.8%が使用していたのに対し、2024年にはほぼ全ての回答者(99.5%)が使用していると報告しています。Microsoft Copilot、Bing Chat、DALL-E、Geminiといった他のツールも利用が増加しており、AIツールが学生の学習生活に深く浸透していることが示されました。

プログラミング課題においては、コード生成(41.76%)、デバッグ(37.36%)、コードの説明(31.87%)が主な利用目的として挙げられています。これは、AIがプログラミングの効率化と理解促進に貢献していることを示唆しています。

✅ ポイント2:「完全に許可」から「部分的に許可」へ、学生の認識が変化

AIツールの利用に対する学生の態度は、2023年には「完全に許可すべき」という意見が57.14%と多数派でしたが、2024年には「部分的に許可すべき」という意見が57.14%と主流になりました。この変化は、学生がAIの利便性を享受しつつも、その潜在的なリスク(正確性の問題、過度な依存、自律的思考能力の低下)をより意識するようになったことを示しています。

「部分的に許可」を支持する学生は、AIツールを「学習をサポートするツール」と捉え、コードの理解や部分的な生成、デバッグ支援に限定すべきだと考えています。一方で、「完全に許可」を支持する学生は、AIを「GoogleやStackOverflowのような既存のツールと同じ」と見なし、将来的な業界標準となるという認識が強いようです。

✅ ポイント3:学年によるAI利用と懸念の違い

2024年のデータでは、プログラミング課題におけるAIツールの利用率に学年による違いが見られました。大学院1年生(GL1)が最も利用率が高く(97.62%)、大学1年生(UL1)が最も低い(76.48%)という結果です。これは、上位学年の学生ほど高度なツールに慣れており、効率性を重視する傾向があることを示唆しています。

また、AIツールのデメリットに関する認識も学年によって差があり、大学院生は「過度な依存」や「独立した推論能力の低下」に対してより高い懸念を示しています。これは、高度な学習段階において、深い思考力や批判的思考の重要性をより強く認識しているためと考えられます。

4. ADVANCEの現場から見た実感

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▲ ADVANCEの教室で学ぶ様子(イメージ)

堺市南区のプログラミングスクールADVANCEで実際にプログラミングを教えている講師としての意見は以下の三つです

🎮 現場で感じる3つの変化

AIツールの利用はすでに現実

論文で示されたように、AIツールの利用は学生にとって当たり前のものになっています。Scratchのようなビジュアルプログラミングから、PythonやJavaScriptのようなテキストプログラミング、さらにはUnityでのC#ゲーム開発に至るまで、生徒たちはすでにAIを情報源や補助ツールとして活用し始めています。特にコードのエラー解決(デバッグ)や、複雑な概念の説明を求める際に活用している生徒が多いです。

「部分的に許可」の姿勢は教育現場でも重要

学生の「部分的に許可」を求める姿勢は、教育現場の現状と合致しています。プログラミング教育では、生徒が自分で考え、コードを書き、問題を解決するプロセスが非常に重要です。AIに全てを任せてしまうと、この学習機会が失われます。しかし、AIを完全に禁止することも非現実的であり、生徒の学習意欲を損なう可能性もあります。

ADVANCEでは、「AIはあくまで学習を補助するツールである」という認識を生徒に持たせ、コード生成の際は「なぜそのコードが動くのか」「どのような原理で動いているのか」を自分の言葉で説明できるように指導しています。

AIリテラシー教育の必要性

論文でも指摘されているように、AIの出力の正確性に関する懸念は現場でも感じられます。AIが提供する情報が常に正しいとは限らず、時に誤ったコードや説明を生成することもあります。そのため、生徒にはAIの情報を鵜呑みにせず、批判的に評価し、検証する能力が求められます。

これは、単にプログラミングスキルだけでなく、情報リテラシーや問題解決能力の育成にも繋がります。ADVANCEでは、AIを使ってコードを生成した後でも、「そのコードをテストする」「自分で修正・改善する」といったステップを重視し、主体的な学習を促しています。

この論文の研究結果は、プログラミング教育においてAIツールの積極的な活用と、それに伴うリスク管理のバランスがいかに重要であるかを改めて教えてくれます。ADVANCEでは、今後も最新の研究動向を注視し、生徒たちがAI時代を生き抜くために必要なスキルを習得できるよう、指導方法を進化させてまいります。

5. 保護者の方へ:家庭でできること

AIツールの進化は、お子様の学習環境にも大きな影響を与えています。この論文の知見を踏まえ、保護者の皆様が家庭でお子様のプログラミング学習をサポートするためにできることをご紹介します。

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AIツールへの健全な関心を育む

お子様がChatGPTやMicrosoft CopilotなどのAIツールに興味を持ったら、頭ごなしに禁止するのではなく、一緒に使い方を調べたり、プログラミングの学習にどのように役立つかを探ってみましょう。例えば、お子様がScratchでゲームを作っているときに、AIに「猫がジャンプするスクリプトのアイデアを教えて」と尋ねてみるのも良いでしょう。

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AIの答えを「鵜呑みにしない」習慣づけ

AIは便利な反面、誤った情報を生成することもあります。AIが提供したコードや説明を、「本当に正しいのかな?」「なぜこうなるんだろう?」と疑問を持つように促しましょう。例えば、Pythonで書かれたコードをAIに説明させた後、お子様に「この部分はどういう意味?」と質問し、自分で考える時間を与えることが大切です。

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「自分で考えるプロセス」を評価する

最終的な成果物だけでなく、お子様がAIツールを使いながらも、どのように問題解決に取り組んだか、そのプロセスを褒めてあげてください。AIを使ってRubyのWebアプリケーションを開発した場合でも、「AIに質問する内容を工夫したね」「AIのコードを自分の言葉で説明できたね」といった具体的な声かけが、自律的な学習姿勢を育みます。

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6. 参考文献

  1. Novak, M., & Maček, M. (2026). AI Tools in Programming Education: Student Perspectives and Usage Trends. Journal of Information and Organizational Sciences, 50(1), 83-104. https://doi.org/10.31341/jios.50.1.5
  2. Mahmoud, A. B., Kumar, V., & Spyropoulou, S. (2025). Identifying the Public’s Beliefs About Generative Artificial Intelligence: A Big Data Approach. IEEE Transactions on Engineering Management, 72, 827–841. https://doi.org/10.1109/TEM.2025.3534088
  3. Yilmaz, R., & Yilmaz, F. G. K. (2023). Augmented intelligence in programming learning: Examining student views on the use of ChatGPT for programming learning. Computers in Human Behavior: Artificial Humans, 1(2), 100005. https://doi.org/10.1016/j.chbah.2023.100005
  4. Prather, J., Denny, P., Leinonen, J., Becker, B. A., Albluwi, I., Craig, M., Keuning, H., Kiesler, N., Kohn, T., Luxton-Reilly, A., MacNeil, S., Petersen, A., Pettit, R., Reeves, B. N., & Savelka, J. (2023). The robots are here: Navigating the generative AI revolution in computing education. In Proceedings of the 2023 Working Group Reports on Innovation and Technology in Computer Science Education (ITiCSE-WGR '23) (pp. 108–159). Association for Computing Machinery. https://doi.org/10.1145/3623762.3633499
  5. Smolansky, A., Cram, A., Raduescu, C., Zeivots, S., Huber, E., & Kizilcec, R. F. (2023). Educator and student perspectives on the impact of generative AI on assessments in higher education. In Proceedings of the Tenth ACM Conference on Learning @ Scale (pp. 378–382). ACM. https://doi.org/10.1145/3573051.3596191
  6. Ellis, M. E., Casey, K. M., & Hill, G. (2024). ChatGPT and python programming homework. Decision Sciences Journal of Innovative Education, 22(1), 4–15. https://doi.org/10.1111/dsji.12306
  7. Hou, I., Nguyen, H. V., Man, O., & MacNeil, S. (2025). The evolving usage of GenAI by computing students. In Proceedings of the 56th ACM Technical Symposium on Computer Science Education V. 2 (pp. 1438–1439). ACM. https://doi.org/10.1145/3641555.3705266
  8. Keuning, H., Alpizar-Chacon, I., Lykourentzou, I., Beehler, L., Köppe, C., de Jong, I., & Sosnovsky, S. (2024). Students' perceptions and use of generative AI tools for programming across different computing courses [Preprint]. arXiv. https://arxiv.org/abs/2410.06865
  9. Hamamra, B., Khlaif, Z. N., Mayaleh, A., & Baker, A. A. (2025a). A phenomenological examination of educators’ experiences with AI integration in Palestinian higher education. Cogent Education, 12(1). https://doi.org/10.1080/2331186X.2025.2526435
  10. Hamamra, B., Khlaif, Z. N., & Mayaleh, A. (2025b). Between promise and precarity: Palestinian university educators’ experiences with AI integration in higher education. Interactive Learning Environments, 1–16. https://doi.org/10.1080/10494820.2025.2547264
  11. Khlaif, Z. N., Ayyoub, A., Hamamra, B., Bensalem, E., Mitwally, M. A. A., Ayyoub, A., Hattab, M. K., & Shadid, F. (2024). University Teachers’ Views on the Adoption and Integration of Generative AI Tools for Student Assessment in Higher Education. Education Sciences, 14(10), 1090. https://doi.org/10.3390/educsci14101090
  12. Ayyoub, A., Khlaif, Z., Hamamra, B., Bensalem, E., Mitwally, M., Sanmugam, M., Fteiha, A., Joma, A., Bsharat, T. R. K., Eidah, B. A., & Khaldi, M. (2025). Drivers of Acceptance of Generative AI Through the Lens of the Extended Unified Theory of Acceptance and Use of Technology. Human Behavior and Emerging Technologies, 2025(1). https://doi.org/10.1155/hbe2/6265087
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この記事を書いた人

ADVANCE 講師

堺市南区のプログラミングスクールADVANCEで、Scratch・Roblox・Unity等を用いたプログラミング教育を担当。子どもから大人まで幅広い年齢層への指導経験を持つ。