AI時代の営業は「顧客文脈力」が鍵!HubSpot調査で明らかになった変化と課題
ビジネスの世界で、生成AIの進化が止まりません。顧客の購買行動も大きく変わり、営業担当者に求められる役割も変化しています。HubSpotJapanが発表した「日本の営業に関する意識・実態調査2026」から、AI時代に営業が生き残るために必要な“顧客文脈力”とは何か、詳しく見ていきましょう。
購買行動の変化:AIが顧客の意思決定に深く関与
調査によると、B2Bの購買検討時にインターネット検索を利用する人は減少傾向にある一方、生成AIから得られる情報を参考にする人が急増しています。具体的には、2024年の調査から約2.7倍に増加し、無視できない規模に成長しました。
実際に、36.7%の買い手が仕事における製品やサービスの購入検討に生成AIを活用しており、そのうち33%が直近1年以内に使い始めたばかりです。生成AIの利用目的は、自身の課題やニーズの整理・言語化(67.7%)や、商品・サービス、ベンダーに関する情報収集(56.5%)が上位を占めています。
驚くべきは、4割近くの買い手(39.4%)が、候補となる商品・サービスやベンダーのリストアップに生成AIを活用しているという点です。営業活動の序盤において、AIがすでに深く関与し始めていることを示しています。
さらに、生成AIで得た情報がきっかけで当初検討していなかった製品を候補に加えた経験がある人は52.4%に達し、最終的な意思決定に影響を与えたと答えた人も55.3%に上ります。つまり、AIが顧客の購買プロセス全体に影響を与えているのです。
AI時代に営業に求められる役割:共感と個別最適化
買い手の自己解決能力が高まる中で、営業担当者に求められる役割は変化しています。自社の課題や要望に合わせた提案が欲しい時に営業担当者が必要だと思う割合は減少傾向にありますが、依然として8割以上の買い手(81.2%)が営業担当者から提供される情報に期待しています。
生成AIにはない価値として、営業担当者に期待されるのは、「状況を理解し、カスタマイズされた個別事情をくんだ提案をくれること」(42.5%)や、「言語化できていないニーズや潜在的なニーズを引き出してくれること」(37.9%)、「共感や気配り」(37.5%)です。
HubSpotJapanの土井早春氏は、「営業担当者の知らないところでAIが候補リストを書き換えていたり、最終的な意思決定に影響を与えたりしている可能性がある」と指摘し、AIにはない人間ならではの“顧客文脈力”が重要だと強調しています。
営業組織のAI活用:定着と成果の秘訣
売り手である営業組織の側でも、生成AIの活用は進んでいます。営業担当者および営業責任者の生成AI活用率は、1年で28.9%から43.4%へと大幅に増加しました。特にChatGPTが75.4%と圧倒的な人気を誇っています。
有料版生成AIツールへの投資に対するリターンも高く、83.4%のユーザーが費用対効果を実感しています。AIの利用頻度が高いほど、業務削減時間とROIの実感率が高くなる傾向があり、ほぼ毎日利用する人は週当たり平均3.6時間の業務時間を削減しています。
成果が出やすい業務領域は、顧客関係管理(CRM)や営業支援(SFA)への活動記録の入力や、アプローチ先のリストアップ、優先順位付けなどです。これらの業務は、生成AIが得意とする領域であり、活用を始めるには最適な入り口と言えるでしょう。
組織主導のAI導入が成功の鍵
調査の結果、組織における支援体制の有無が、AIの定着率に大きく影響することが明らかになりました。組織からの支援がない場合は活用率が35.6%に留まるのに対し、何らかの支援がある場合は62.8%へと約2倍に高まります。
単なる許可だけでなく、研修や勉強会の実施、そしてCRM連携や共有プロンプトの提供など、実際の業務プロセスへの組み込みまで組織主導で行うことが、AI定着と成果創出の最大の鍵となります。
AI時代を生き抜く営業は、AIを使いこなすだけでなく、AIには代替できない“顧客文脈力”を磨き、顧客との信頼関係を築くことが重要です。そして、組織全体でAI活用を推進し、営業プロセスに組み込むことで、さらなる成長を遂げることができるでしょう。