東日本大震災の被災地に23万冊の絵本を届けた女性の言葉「失って、満たされることが人生には起こる」
東日本大震災から13年。国内外から寄せられた絵本を被災地に届け続けた末盛千枝子さん(84歳)の言葉が、多くの人の心を打ち続けています。絵本編集者として長年活躍し、現在は岩手県に暮らす末盛さんが、歳を重ねて学んだこと、そして震災復興支援への思いを綴った著書『今だからわかること84歳になって』(KADOWA)から、その一部をご紹介します。
「絵本プロジェクト」発足のきっかけ
2011年の東日本大震災発生時、末盛さんは岩手県八幡平に移住して間もない時期でした。未曾有の災害で家を失ったり、大切な人を亡くしたりした子どもたちの健気さに心を痛めた末盛さんは、「何かできることはないか」と考えました。幼い頃に父親を亡くした息子たちの経験から、絵本が子どもたちに心の安らぎを与えることを知っていた末盛さんは、絵本を届ける活動を思いつきます。
6台の「えほんカー」が駆け抜けた被災地
「母さん、もし何かやるんだったら、絵本だろう」という次男の言葉をきっかけに始まった「3.11絵本プロジェクトいわて」。盛岡市中央公民館の協力を得て、国内外から次々と届いた絵本の段ボール箱を開梱・仕分け。春彦さんが考案した「えほんカー」6台が、絵本を積んで被災地を走り回りました。活動は「絵本サロン」「出張絵本サロン」へと広がり、23万冊もの絵本が被災地の子供たちの手に渡りました。
世界に感動を与えた活動
2012年のIBBY(国際児童図書評議会)ロンドン大会で活動報告を行った際、末盛さんの活動は世界中の児童書関係者から感動を呼びました。多くの人が涙を流しながら耳を傾けたといいます。10年間という期間を設けて行われたこの活動は、その役目を終えましたが、末盛さんにとって、絵本に関わってきた人生の集大成だったと感じています。
「何かを手放した時、その状況から逃げ出さなければ、先がある」
末盛さんは、活動を振り返り、「もし『すえもりブックス』を手放さなかったら、こういうことは起こらなかったかもしれない」と語ります。しかし、何かを手放すことで、新たな道が開けることも人生にはあると信じています。「失って、満たされることが人生には起こるものです。そうです、きっと、これからも。」という末盛さんの言葉は、困難に直面している人々に勇気を与えてくれるでしょう。
著書『今だからわかること84歳になって』には、末盛さんの人生観や、大切にしている時間、習慣などが綴られています。ぜひ一度手に取って、末盛さんの温かい言葉に触れてみてください。