死を見つめて手にした真の自由──プーマ・ブルー、最新アルバム『CroakDream』制作秘話&来日公演情報
ジェイコブ・アレン率いるプーマ・ブルーの最新アルバム『CroakDream』が話題を呼んでいます。前作『HolyWaters』(2023年)で確立したバンドサウンドを大胆に解体・再構築し、ダビーな音響処理とヘヴィなサウンドで新たな境地を開拓。その制作舞台裏や影響源、そして死生観が滲むリリックまで、ジェイコブ・アレン自身がその世界観を語り尽くします。3月31日(火)大阪・梅田CLUBQUATTRO、4月1日(水)東京・ZeppShinjuku(TOKYO)で開催される来日公演も必見です!
バンドサウンドの解体と再構築
『CroakDream』は、前作『HolyWaters』で築き上げたバンドサウンドをアップデートした作品ですが、その道のりは決して平坦ではありませんでした。2作のEP『antichamber』『extchamber』(共に2025年リリース予定)を挟んだ理由について、ジェイコブはこう語ります。
「プーマ・ブルーの表現の一番ピュアな形態は、自分一人で曲を書いてプロデュースすること。それをバンドに持っていくと、また別のものに育っていく。ライブやスタジオで一緒にやっていく中で自然と違う姿になっていく。そこから曲がどう発展していくかという旅路自体に、すごく興味があるんだ。」
しかし、2年前には一人で曲を作りたいという衝動に駆られ、アコースティックやアンビエント作品を制作。当初はリリースする予定もなかったプライベートな作品が、『antichamber』『extchamber』としてリリースされることになりました。そして、それらを経ることで『CroakDream』の作業が一時中断。新たなエネルギーを得て、バンドとの共同作業を再開したのです。
「『antichamber』と『extchamber』を作り終えた後、自分の中に新たなエネルギーが生まれてきた。ずっと一人で作業してたのが、また自分の仲間たちと一緒に音楽を作れるっていう喜びとワクワクした感じになったんだ。せっかくなら冒険してみようかなと思って、ループを用意して、その上にバンドに演奏してもらい、録音したテープの上に音を重ねていく手法を取ってみたんだ。」
ポスト・プロダクションの深化
『CroakDream』は、『HolyWaters』の頃よりもポスト・プロダクションの要素が強くなっているように感じられます。ジェイコブは、その影響源について語ります。
「『HolyWaters』の頃は生々しいサウンドに惹かれてて、CANとかジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスをよく聴いていた。その空間で鳴っている音をそのままの形で閉じ込めたようなサウンド。一方今回は、ポーティスヘッド、マッシヴ・アタック、プロディジー、フューチャー・サウンド・オブ・ロンドン、ビョークなど、どこからが生演奏で、どこからがプロダクションなのか聴いていると頭の中が混乱してくるようなアーティストに強く惹かれていた。」
形式を遊び尽くすというコンセプトのもと、ルービックキューブのように何度も形を変えながら、最終的には自分自身でさえ生演奏とプロダクションの区別がつかなくなるレベルまで音を追求。その結果、『CroakDream』は唯一無二のサウンドを確立しました。
リバース・エンジニアリングとRealWorldStudios
『antichamber』『extchamber』で培ったリバース・エンジニアリングの手法も、『CroakDream』の制作に大きく貢献しました。ジェイコブは、過去のレコードの音作りを解明したり、頭の中に鳴り響く音を具現化したりすることで、プロダクションのスキルを磨いたと言います。
「今回のアルバムはコラージュみたいな作り方をしたんだよね。バンドのみんなとスタジオにこもって、完璧なテイクが出るまでひたすら延々と録り続けることに全然気が向かなくて。もっと実験しながらアレンジを見つけていく形にしたくて。自分がやってたのは要するに、バンド・サウンドを丸ごとサンプラーに読み込んで、そこからサンプリングしていったようなもので、いわゆるコピー&ペースト方式だよね。」
また、ピーター・ガブリエルが所有するRealWorldStudiosでのレコーディングについても言及。予算の範囲内で最適な場所を探した結果、オープンリール式テープレコーダーなどの機材が揃っていること、そして都会の喧騒から離れた自然豊かな環境が、バンドの集中力を高めるのに役立ったと語っています。
プーマ・ブルーの進化が止まることはありません。来日公演では、『CroakDream』以降のモードで、さらに迫力満点の演奏を披露してくれることでしょう。今の充実したプーマ・ブルーを目撃する絶好の機会をお見逃しなく!