本屋大賞受賞!感動のフランス小説『空、はてしない青』翻訳の裏側と次作の魅力
200万部突破のフランス小説『空、はてしない青』が、2026年の本屋大賞翻訳小説部門を受賞!繊細な心理描写が話題の本作。翻訳を手がけた山本知子さんに、作品への想いや、著メリッサ・ダ・コスタの最新作について語っていただきました。
若年性アルツハイマーと旅…心を揺さぶる物語
『空、はてしない青』は、若年性アルツハイマーで余命2年と宣告された青年エミルと、謎めいた女性ジョアンヌがピレネー山脈を旅する物語。山本さんは、初めて原稿を読んだ時の印象を「まるで映画を観ているようだった」と語ります。大自然の風景描写、そして登場人物たちの心情がリアルに浮かび上がり、読者を物語の世界へと引き込みます。
特に最後の数章は涙が止まらなかったとのこと。翻訳作業中も、ストーリーを知っているにも関わらず、何度も涙を流してしまうほど感動したそうです。
翻訳で大切にしたこと…原書の魅力を最大限に引き出す
翻訳の際、山本さんは原書に忠実でありながらも、日本の読者がストレスなく読める表現に調整することを心がけました。フランス語の文体をそのまま日本語に置き換えるのではなく、「このシーンで相手からこう言われたら、日本語ではなんて言うのがいいかな?」と、読者の感情を意識しながら言葉を選び抜きました。
また、三人称で書かれた原稿を、エミルの視点を取り入れるなど工夫することで、臨場感を高めました。フランス語にはない日本語ならではの表現を活かし、作品の魅力を最大限に引き出す翻訳術に注目です。
メリッサ・ダ・コスタの魅力とは?
メリッサ・ダ・コスタの作品からは、冷静な観察眼と豊かな想像力が感じられます。登場人物の心情を深く掘り下げ、読者の心に深く響く物語を生み出しています。山本さんは、彼女の作品に「鋭く人間をとらえつつも、最終的にはネガティブにならずに希望に至る世界観」を感じると語ります。
最新作『立ち上がる時』は…愛と再生の物語
メリッサ・ダ・コスタの日本第2作『立ち上がる時』も、山本さんが翻訳を手がけました。本作は、舞台役者のフランソワが事故で下半身不随となり、恋人エレオノールとの関係が変化していく物語です。「誰かと一緒に生きることの難しさ、愛することの本質」がリアルに描かれています。
山本さんは、この作品を「人生の壁に当たっている人にも勇気を与えられる」と推薦。登場人物のモノローグ形式で構成されており、男性と女性それぞれの視点から物語が展開されるため、共感できるポイントも多いはずです。
翻訳小説の選び方と楽しみ方
翻訳小説を選ぶ際は、タイトルや帯、訳者あとがきなどを参考に、自分の好みに合う作品を選ぶのがおすすめです。山本さんは、「海外の小説は、日本の作品からは得られない発見がある」と語ります。ぜひ、翻訳小説の世界に足を踏み入れて、新たな感動を体験してみてください。