右派も左派も“脳内の敵”を叩いているだけ?情報戦・認知戦のリアルとSNSとの向き合い方
ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の悪化、そして台湾有事への懸念が高まる中、日本国内でも防衛力強化の議論が活発化しています。そんな状況下、東京大学准教授の小泉悠氏とクリエイティブディレクターの辻愛沙子氏が、現代の安全保障における「情報戦・認知戦」について対談しました。今回は後編として、SNS上での過激な言説やディープフェイクが蔓延する情報空間で、私たちがどう情報を取捨選択すべきか、そして個人としてSNSとどう向き合うべきかについて掘り下げます。
外交か軍事か?日本が目指すべき立ち位置
辻愛沙子氏は、日本が平和を維持するための唯一の方法は、どの国とも良好な関係を築く平和外交だと主張します。アメリカと中国のどちらか一方を選ぶような状況に陥らず、仲裁や対話を通して国際社会での存在感を高めるべきだと指摘します。
「例えば、イランは親日国なので、アメリカ側だけでなくイランとも対話をして仲裁をするとか。そういう『この国が間に入ると場が収まる』という存在として、国際社会での存在感を発揮していくことが、一番現実的にできる日本の立ち回りな気がしています。」
また、核兵器については、核抑止論に頼るのではなく、世界唯一の被爆国として核の恐ろしさを訴え、核開発競争を止めるように呼びかけることが、日本ならではの外交安保のあり方だと提言しています。
情報空間で起きている「見えない戦争」
SNS上では日々、過激な言葉が飛び交い、特定の国を仮想敵として煽り立てる言説が後を絶ちません。ディープフェイクが溢れ、真実と虚偽の境界が曖昧になる中で、私たちはどう情報を取捨選択すべきなのでしょうか?
小泉氏は、現代の情報戦・認知戦は、物理的な武力と同等、あるいはそれ以上の重要性を持っていると警鐘を鳴らします。右派も左派も、それぞれ“脳内の敵”を叩いているだけで、建設的な議論ができていない現状を指摘します。
この「見えない戦争」の中で、個人としてできることは何でしょうか?辻氏は、SNSとの向き合い方を見直し、情報の発信元や内容を批判的に吟味することの重要性を強調します。情報を鵜呑みにせず、多角的な視点から真実を見極める努力が必要だと訴えます。
情報戦・認知戦は、私たち一人ひとりの意識と行動に関わる問題です。情報の洪水に溺れることなく、冷静に情報と向き合い、主体的に判断していくことが、これからの時代に求められるスキルと言えるでしょう。