脱炭素化の裏側で「ものづくり」がピンチ?鉄スクラップ争奪戦が中小企業を脅かす
脱炭素化に向けた動きが加速する一方で、日本の製造業の基盤を支える素形材産業が深刻な危機に直面しています。特に中小企業は、原料となる鉄スクラップの確保が困難になり、事業継続が危ぶまれています。国民民主党の玉木雄一郎代表は、この状況を「産業消滅の恐れ」と警鐘を鳴らし、早急な対策を求める声を上げています。
素形材産業とは?私たちの生活を支える縁の下の力持ち
素形材産業は、自動車、航空機、造船、防衛、宇宙など、幅広い分野の製造業を支える基盤技術です。鋳造や鍛造といった技術を用いて、エンジン部品のような複雑で高強度が求められる製品を生み出しています。しかし、長年の課題である生産設備の老朽化や後継者不足により、事業所数は2012年から2021年の10年間で約4割減少するなど、衰退の一途をたどっています。
脱炭素化が招く「鉄スクラップ不足」問題
国内の鉄鋼大手は、脱炭素化のために、石炭を使用する高炉から、鉄スクラップを原料とする電炉への転換を進めています。経済産業省の試算によると、この転換により約350万トンの高品位スクラップの需要が増加すると予想されています。しかし、中小企業は大手企業との競争に勝ち、良質なスクラップを確保することが難しくなっています。
玉木代表「産業をつぶしてしまえば元も子もない」
国民民主党の玉木雄一郎代表は、「脱炭素化は重要だが、それが行き過ぎて産業をつぶしてしまえば元も子もない」と指摘し、国内産業の維持を最優先に考えた政策判断を求めました。また、高度な職人技術の海外流出を防ぐための法整備や、事業承継を促す税制優遇の必要性にも言及しています。
政府も対応に動き出す
経済産業省もこの問題の深刻さを認識し、対応を加速させています。4月14日には、日本製鉄やトヨタ自動車など関係企業との勉強会を開催し、業界の課題について意見交換を行いました。赤沢亮正経産相は、「素形材産業は極めて重要な分野であり、競争力維持のための施策を検討したい」と述べ、350万トン規模の需要増に対する予見可能性の重要性を強調しました。
脱炭素化は地球規模の課題ですが、その過程で日本のものづくり基盤が崩壊してしまうことは避けなければなりません。政府、大企業、中小企業が連携し、持続可能な産業構造を構築していくことが求められています。