ステーブルコイン、CBDC、トークン化預金…お金の形はどう変わる?「こじらせた高校生」が見つけた価値交換の面白さ
お金の形が大きく変わりつつあります。ステーブルコイン、トークン化預金、CBDC(中央銀行デジタル通貨)といった新しい決済手段が登場し、私たちの生活に浸透し始めています。この記事では、財務省でデジタル通貨の企画・立案に携わる鳩貝淳一郎氏に、お金の未来について聞きました。
日本銀行から財務省へ。鳩貝氏が見た仕事の違い
鳩貝氏は、これまで日本銀行でCBDCの実証実験に携わってきました。2025年7月には財務省へ出向し、デジタル通貨企画官として、制度設計に携わるようになりました。日本銀行と財務省での仕事の違いについて、鳩貝氏は「日本銀行では技術面を深く検討することが多かったが、財務省では制度自体をどうデザインするかという発想が強くなった」と語ります。組織の境界をまたぐことで、新たな視点を得られたようです。
CBDCは今、どんな段階?
CBDCの発行は、国民的な議論の中で検討が進められています。鳩貝氏は「国の通貨制度は、国民一人ひとりの生活に直結するものであり、さまざまな関係者のコンセンサスを大事にしていかなければ成り立たない」と強調します。日本銀行は実証実験を重ね、社会的なニーズの高まりに備えながら、慎重に準備を進めている状況です。
ステーブルコインとCBDCは共存関係?
昨年、日本でも円建てステーブルコインが登場しました。これについて鳩貝氏は「ステーブルコインなどの民間マネーはそれぞれ得意分野があり、多様なユーザーニーズに応えていく」と評価しつつも、民間マネーではカバーできない領域が存在すると指摘します。その領域をCBDCが補完することで、より包括的な決済システムを構築できると考えています。ステーブルコインとCBDCは、競争ではなく共存、代替ではなく補完の関係にあると述べています。
デジタルデバイスの重要性とUXの課題
デジタルマネーを使うには、スマートフォンなどのデジタルデバイスが必要です。鳩貝氏は「デジタル化を考えれば考えるほど、現金の“UXのすごさ”を感じる」と語ります。現金は特別なデバイスなしで支払いができる手軽さがあり、ハンディキャップのある方にも使いやすいというメリットがあります。CBDCにおいても、デバイスのUX(ユーザーエクスペリエンス)は重要な課題です。顔認証による支払いなど、様々な可能性が検討されています。
3メガバンクのステーブルコインとホールセール型CBDC
3メガバンクが共同で発行するステーブルコインは、企業間取引やクロスボーダー決済の効率化に貢献すると期待されています。これは、ホールセール型CBDCが担う役割と重なる部分もあります。鳩貝氏は、これらの民間マネーとCBDCが連携することで、それぞれの得意分野を活かし、よりスムーズな価値交換を実現できると考えています。
トークン化・オンチェーン化の可能性
資産をブロックチェーン上に記録するトークン化や、金融取引をブロックチェーン上で処理するオンチェーン化は、金融業界で注目を集めています。鳩貝氏は、これらの動きは「既存のパブリックブロックチェーン上で行われている取り組みと伝統的な金融が関係を深めていく」兆しだと見ています。ブロックチェーンの技術は、金融業界に新たな可能性をもたらすでしょう。
「価値交換」は「交歓」につながる
鳩貝氏は、お金の存在意義について「お金があるからこそ、交換が容易になり分業が実現する。自分が生み出した価値を他人の価値と交換できることは、社会に参加していることを日々実感する機会になる」と語ります。価値交換は単なる取引ではなく、社会とのつながりを深める交歓につながるのです。
鳩貝氏は、新しい時代の新しいお金のデザインに取り組む中で、「お金がちゃんと使えている」という実感を得ることにやりがいを感じています。お金の未来は、技術の進化とともに、私たちの生活をより豊かにする可能性を秘めていると言えるでしょう。
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