「この世界では新人だぞ!」ガッツ石松さんを俳優として開花させた、昭和の名優・若山富三郎の強烈な“愛の喝”
ボクシング界のレジェンドが俳優として成功した背景にあった、ある出会い
元WBC世界ライト級王者であり、「OK牧場!」のフレーズで誰からも愛されたタレント・ガッツ石松さんが、6月2日に76歳で逝去されました。リングの上ではアジア人初の世界王座獲得という歴史的快挙を成し遂げ、リングを降りてからはドラマ『北の国から』や『おしん』など、数々の名作で唯一無二の存在感を放ったガッツさん。しかし、俳優としての成功には、昭和を代表する大俳優・若山富三郎さんとの運命的な出会いがありました。
有頂天だったガッツさんに飛んだ「喝」が人生の転機に
ガッツさんと若山富三郎さんの出会いは、ハリウッド映画『ブラック・レイン』(1989年)での共演でした。若山さんの長男で俳優の若山騎一郎さんによると、当時、芸能界入りして少々有頂天になっていたガッツさんに対し、富三郎さんは初対面の挨拶で「お前、世界チャンピオンか何か知らないが、この世界ではまだまだ新人だぞ!」と一喝したといいます。この言葉に気を引き締めたガッツさんは、それ以降、富三郎さんを「若山センセイ」と呼び、深く敬うようになったそうです。
「この映画は当たるわけがない」不器用な愛情が生んだ絆
若山親子の交流はその後も続き、ガッツさんが監督・脚本を務めた映画『カンバック』には富三郎さんが友情出演を果たしました。記者会見で「この映画は当たりますか?」と聞かれた富三郎さんが「ガッツが作った映画なんだから当たるわけがないだろ!」とジョークを飛ばしたエピソードは、二人の距離感が近かったことの証でもあります。ガッツさんは晩年、「若山センセイと会わなかったら、俺は成功しなかった」と語るほど、この出会いを大切にしていました。天国でもきっと、あの頃のような笑顔で語り合っていることでしょう。