爆笑エッセイの作者が描く、愛犬との静かな別れ『老犬とつづ井』
『裸一貫!つづ井さん』などの人気エッセイで知られる漫画家・つづ井さんが、愛犬Aとの最期の日々を綴った新刊『老犬とつづ井』(文藝春秋)が話題を呼んでいます。爆笑の裏に隠された、温かく、そして静かな看取りの記録を紐解きます。
突然訪れた「死期」…仕事を辞めて実家へ
ある日、愛犬Aの命が近いことを知らされたつづ井さん。愛犬との時間を最優先するため、仕事を辞めて実家へ帰る決断をしました。長年家族の一員として、いつも穏やかな笑顔をくれた大型犬Aとの、残された時間を大切にしようと。
犬の気持ちを「代弁」しない、誠実な距離感
本作でつづ井さんが最も心がけたのは、Aの気持ちを人間の都合で解釈したり、感情を押し付けたりしないこと。言葉が通じないからこそ、その時々の事実をフラットに描くことにこだわりました。また、感傷的になりすぎないことも意識し、楽しかった日常をそのまま残したいという想いが込められています。
「気持ちがわからない」からこそ愛おしい
「心が通じ合う」ペットとの関係性とは一線を画し、つづ井さんは「お互いの気持ちがわからない」ことこそが、愛犬との生活で学んだ最大の喜びだと語ります。相手の心を覗けないからこそ、心が通じたように感じた瞬間の尊さが際立ち、異種の生き物と暮らすことの豊かさを教えてくれたのです。
「描くこと」が別れを受け入れるためのプロセスに
愛犬を看取った後、つづ井さんは深い悲しみに暮れましたが、当時の記憶を絵日記として細かく記録したり、家族と語り合ったりする中で、少しずつ感情に変化が訪れました。本作を描き上げることは、Aがもういないという現実を受容するための、大切な儀式だったと語ります。
つづ井さんは「この本が必要な方に、必要なタイミングで届いたら嬉しい」と語り、読者の心に静かに寄り添い、失ったものへの愛しさを再確認させてくれる一冊です。
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