たった一人を残さず…亡き6歳娘を励まし続けた母の願い、防災絵本に込めた15年の想い
2011年3月11日に発生した東日本大震災から15年。宮城県石巻市の佐藤美香さんは、震災で当時6歳だった娘・愛梨さんを失いました。悲しみを乗り越え、「子どもたちの命を守りたい」という強い思いから、防災絵本『2人の天使にあったボク』を制作。愛梨さんの記憶を“生かし続け”たいと、語り部として活動しながら、震災の教訓を伝えています。
「太陽みたいな子だった」愛梨さんの笑顔が消えたあの日
愛梨さんは、「人を笑わせるのが得意な、太陽みたいな子」でした。小島よしおさんのネタを真似してクラスを盛り上げ、周りを明るくする存在だったと言います。しかし、震災の日の朝、幼稚園の送迎バスに乗って笑顔で手を振る愛梨さんの姿が、佐藤さんが見た最後の姿となりました。
送迎バスは、津波から避難するため海側へ向かいましたが、幼稚園に戻る途中で津波と火災に巻き込まれ、5人の園児たちの命が奪われました。変わり果てた姿で発見された愛梨さん。佐藤さんは、「抱きしめてあげることすら叶わない状況でした」と、深い悲しみを語ります。
「たすけてー」…必死に生きようとした子どもたちの叫び
バス発見場所の近隣住民は、火の手が回る深夜まで「たすけてー」「たすけてー」という子どもたちの声を聞いていたといいます。佐藤さんは、「子どもたちは最後まで助けを求めて、必死に生きようとしていた」と語り、津波ではなく、その後の火災で亡くなった可能性を示唆します。「こんな思いは二度と繰り返してほしくない」という強い願いが、佐藤さんを語り部へと駆り立てています。
絵本を通して伝えたい、親子の防災会話のきっかけ
佐藤さんが制作した絵本『2人の天使にあったボク』は、大きな地震で一人になった男の子の元に天使が現れ、津波から避難するために高台へ導いてくれるストーリーです。「災害が起きた時に、親子でどうすればいいのか話し合うきっかけになってほしい」と佐藤さんは語ります。
絵本には、愛梨さんの姿も描かれています。佐藤さんは、愛梨さんの記憶を胸に、これからも震災の教訓を語り継ぎ、子どもたちの命を守るために活動を続けていきます。