ホンダ、EV戦略の誤算認める!最大6900億円の赤字見込み、大胆な「脱エンジン」計画に暗雲
ホンダが、2026年3月期の連結最終損益で最大6900億円の赤字に上る見通しを発表しました。その主因は、電気自動車(EV)戦略の見直し。三部敏宏社長は「断腸の思いで決断した」と述べ、大胆に進めてきた「脱エンジン」計画の誤算を認めました。今回の発表は、自動車業界全体の経営環境の激変を浮き彫りにしています。
EV戦略の転換点:アメリカ市場の逆風と中国での苦戦
ホンダは、2040年までにEVと燃料電池車(FCV)の販売比率を100%にするという目標を掲げてきましたが、その達成は「困難」と認めています。背景には、アメリカ市場におけるEVへの逆風があります。トランプ前大統領の就任以降、EV購入補助の終了や排ガス規制の緩和が進み、EVの魅力が薄れているのです。
特にアメリカでは、長距離移動が多いドライバーにとって、航続距離や充電設備の不足がEVの普及を妨げる要因となっています。ゼネラル・モーターズやフォード・モーターといったアメリカの自動車メーカーも、EV投資で損失を計上し、事業配分の見直しを進めています。
さらに、EV普及が進む中国でも、ホンダは苦戦を強いられています。自動運転技術や価格競争力に優れた現地メーカーとの競争が激化し、他の日系メーカーよりも販売台数を伸ばせていません。2月の新車販売台数は、トヨタ自動車、日産自動車を含む日系大手3社とも前年同月比でマイナスとなりましたが、ホンダは25カ月連続でマイナスを記録しています。
ハイブリッド車に注力、中国市場への再挑戦
ホンダは、今後の収益改善に向けて、北米や日本向けにハイブリッド車のラインアップを強化する方針です。また、中国市場では、消費者に受け入れられるEVを投入することで、販売回復を目指します。
ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表アナリストは、今回の損失計上について「現実を直視するための必要な措置」と評価しています。しかし、「技術者目線の車作りが行き過ぎている。世界で通用するコスト競争力と、ユーザーに向き合った車作りへの転換が必要」と課題を指摘しています。
ホンダの今回の決断は、自動車業界全体に大きな影響を与える可能性があります。今後の動向から目が離せません。