能登半島地震で被災の智弁学園・番匠泰雅選手、甲子園で「地元を元気に」 選抜出場で家族や故郷に希望
第98回選抜高校野球大会が19日に開幕し、能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市出身の智弁学園(奈良)・番匠泰雅(ばんじょうたいが)選手が、力強く聖地・甲子園を歩きました。高校入学前の元日に発生した地震で変わり果てた故郷への想いを胸に、選抜出場を果たした番匠選手は、地元の人々への感謝と、野球を通じて元気を与えたいという強い決意を語っています。
地震で一変した故郷、それでも夢を諦めなかった
高級魚のノドグロが名産の珠洲市蛸島町で育った番匠選手。幼い頃から漁師たちに可愛がられ、豊かな自然の中で過ごしました。しかし、2024年元日の地震で、その日常は一変します。激しい揺れで家財が散乱し、電気や水道も止まり、約1週間は車中泊を余儀なくされました。蛸島町では住宅の5割近くが全壊し、珠洲市全体では191人もの犠牲者が出ました。
智弁学園への進学を決めていた番匠選手は、被災地を離れて野球を続けることに葛藤しました。「自分だけ安全な場所で野球をしていいのか」という思いが頭をよぎりましたが、母から「好きな野球を全力ですればいい」と励まされ、甲子園を目指す決意を固めました。
チームトップクラスのパワー、選抜メンバーへ
身長178cm、体重82kgの恵まれた体格を持つ番匠選手は、チームトップクラスのパワーを誇ります。しかし、メンバー争いは厳しく、悔しい思いをすることも少なくありませんでした。それでも、故郷で生活再建を目指す人々の姿を思い出し、練習に打ち込みました。その努力が実り、3月には選抜大会出場メンバーに選出されました。
地元では、数人の漁師から「楽しんでこい、応援に行くから」というメッセージが届き、近所の人々からも励まされています。両親も「地元には応援してくれる人がたくさんいる」と、番匠選手を支えています。
「バックスクリーンへ」地元に明るいニュースを
初戦は20日の第3試合で、花巻東(岩手)と対戦します。今大会から導入された指名打者(DH)制度により、出場のチャンスが広がりました。番匠選手は「狙うはバックスクリーンへの本塁打。はるか遠い地元が元気になるような、明るいニュースを届けたい」と、力強く語りました。甲子園から約350キロ離れた蛸島町を思い、出番に備えています。
能登半島地震で大きな傷を負った故郷に、智弁学園・番匠泰雅選手の活躍が、希望の光を届けることを期待します。