長野県内の住宅耐震化は遅れ気味…熊本地震から10年、住民の7割以上が不安を抱える調査結果
2016年の熊本地震から10年となるのを機に、松本大学の入江さやか教授が長野県内19市に住む住民を対象にアンケート調査を実施しました。その結果、住宅の耐震化が十分に進んでいない現状が浮き彫りになりました。
耐震改修の進捗は9.5%のみ
調査によると、耐震改修を行った木造一戸建て住宅はわずか9.5%にとどまりました。一方で、改修を行っていない住人の72.3%が「地震への不安を感じている」と回答しています。また、家庭での地震対策を特に何もしていない人は全体の3割以上いるなど、防災意識の向上が課題であることが明らかになりました。
旧耐震基準の住宅も改修は11.6%
特に、震度6~7の大地震が想定されていない「旧耐震基準」の木造一戸建て住宅に限定しても、耐震改修を行ったのは11.6%に過ぎません。改修を行わない理由として最も多かったのは「費用面の不安」で、「自治体からの補助金が増えれば改修したい」という意見が多数寄せられました。
能登半島地震の被災状況も踏まえ、事前防災の重要性を訴える
入江教授は、旧耐震基準の木造住宅に対する無料の耐震診断や改修費用の補助金の積極的な周知の必要性を指摘します。さらに、令和6年の能登半島地震の被災地では、建築資材や人件費の高騰により災害公営住宅の建設費が大幅に増加する可能性があることを挙げ、「災害発生後の膨大なコストを考えると、行政が事前防災に投資することは非常に有効ではないか」と訴えています。
熊本地震の経験から「自宅を安全な場所に」
入江教授は、熊本地震発生時に報道機関の職員として現地に入り、3週間滞在した経験から、「自宅を一番安全な場所にしておくことが大切。災害時に避難所に行かなくても過ごせる家づくりへ意識を向けて」と呼びかけます。熊本地震では、高層マンションのけが人の4割、一般住宅の約3割が家具の転倒などによるものでした。今回の調査でも、家具や家電の固定を「やろうと思っているが先延ばしにしている」という人が25.8%も存在し、必要性は認識されているものの、行動に移せていない現状が伺えます。松本市などでは家具の固定補助事業を設けています。
長野県の内陸型活断層と地震リスク
長野県は熊本地震と同様に、内陸の活断層による大地震の発生確率が高い地域です。入江教授は、「熊本地震の教訓に目を向け、家庭や地域の防災力向上につなげていく必要がある」と強調しています。今すぐできる対策を見直し、万が一の事態に備えましょう。