小説家・群ようこ「れんげ荘」シリーズ最新作!無職で月10万円生活のリアルと、17年間の変化
小説家・群ようこさんの人気シリーズ「れんげ荘物語」が、最新作『ヤモリさんとご褒美れんげ荘物語』でついに10巻目に突入しました。月10万円でつつましく暮らす無職のキョウコの日常を描いたこのシリーズは、多くの読者に共感と癒しを与えてきました。今回は、群ようこさんにインタビューを行い、シリーズの変遷や、描く上での変化について語っていただきました。
10巻目、そして17年間の変化
「このところは毎年刊行していたので、あっという間に10冊目になったなあという感じですね。」と群さん。シリーズ開始当初は、月10万円で暮らす人が珍しく、あえて働かない生活を選択する余裕がある人々の姿を描きたいと考えていました。しかし、17年の間に社会は大きく変化し、現在では45歳で働かないという選択は経済的に難しくなっています。
「この17年は、世の中の変わり方がすごかったですね。」と群さんは語ります。シリーズを通して、社会の変化を敏感に捉え、それを作品に反映させてきたことが、多くの読者に支持される理由の一つでしょう。
還暦手前のキョウコと、変化する人間関係
10巻目では、キョウコが還暦少し手前の年齢になり、姪や義姉との人間関係で少し困ってしまう場面が描かれています。これまでのシリーズではあまり描かれてこなかった人間関係の波風を、あえて取り入れた意図について群さんはこう語ります。
「これまであんまり波風立たずに来たので、ちょっと区切りとして、登場人物がそれなりに年を取り、それで人間関係が変わる部分を書こうかなと思いました。」
地方と東京、レイナの選択
シリーズに登場するレイナが、地方で大学を卒業後、れんげ荘に似たアパートで暮らし始めるという展開も注目ポイントです。レイナが地方を選んだ理由について、群さんは東京との対比を意識したことを明かします。
「1巻の頃と比べると、若いお嬢さんにとって東京は希望する家賃で暮らすのが難しいし、レイナは母親と距離を置きたかったわけですよね。」
また、レイナと母親の関係性についても言及し、「娘は母に手厳しいし、母にとって娘は友達、息子は溺愛の範疇の恋人という感じで、母と娘の関係のほうが複雑だと思います。」と語りました。複雑な母娘関係を、キョウコを通して描くことで、よりリアルな人間ドラマが展開されています。
群ようこさんの「れんげ荘物語」シリーズは、単なる生活描写にとどまらず、社会の変化や人間関係の複雑さを巧みに描き出しています。最新作『ヤモリさんとご褒美れんげ荘物語』も、きっと読者の心に深く響く作品となるでしょう。