孤独の果てに生まれる絆『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が見せつけた“映像化の正解”
企業プログラマーから作家へと転身したアンディ・ウィアーのSF小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』が、ライアン・ゴズリング主演で待望の映画化を果たしました。ニューヨーク・タイムズのベストセラーリスト1位にも輝いた本作は、SFファンを中心に大きな注目を集めています。
『オデッセイ』を手掛けたアンディ・ウィアー最新作
ウィアー作品といえば、マット・デイモン主演で映画化された『オデッセイ』(2015)が有名です。エンターテインメント性と科学的リアリティを高次元で両立させた『オデッセイ』は、SFファンから高い評価を受けました。本作もまた、そのバランス感覚を受け継ぎ、SF映画ファンを魅了する作品となっています。
記憶を失った主人公と、宇宙で出会う相棒
物語は、記憶の一部を失った主人公グレースが、わずかに残る科学知識を頼りに自身の置かれた状況を解き明かしていくところから始まります。極限の孤独の中で新たな問題に直面し続ける展開は、密室スリラーとしての緊張感も持ち合わせています。
没入感あふれる映像体験
宇宙に取り残される孤独と恐怖は、『ゼロ・グラビティ』(2013)やアンドレイ・タルコフスキーの『惑星ソラリス』(1972)といった作品でも描かれてきたテーマです。本作では、最新の映像技術によって、その“空間”がかつてない没入感で表現され、恐怖と美しさが同時に押し寄せてきます。
ロッキーの存在が物語を宇宙規模へと拡大
小説版ではシークレットにされていた地球外生命体ロッキーですが、映画版では予告編からその存在が明かされています。これにより、物語が地球規模の問題だけでなく、宇宙規模の危機を描いていることが明確になり、壮大なストーリー展開が期待できます。
友情と自己犠牲が織りなす普遍的なメッセージ
姿も進化の過程も文明も技術も何もかもが違う2人の生物が、ひとつの問題を解決しようと奮闘する中で芽生える友情、そして自己犠牲の精神は、普遍的な希望と平和へのメッセージを内包しています。
実写SF映画初挑戦の監督と脚本家
監督を務めるのは、『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズなどを手掛けたフィル・ロード&クリス・ミラー。本格的な実写SF映画への挑戦となります。脚本は、『オデッセイ』でも脚本を手掛けたドリュー・ゴダードが担当。SFと現実社会の境界線や、人間が持つ“不器用だけど美しい感情”を捉える巧みな描写が光ります。
単なる映画化ではない、映像化の意義
ウィアーによる物語の基礎に、フィル&クリス、そしてドリューの才能が加わり、単なる小説の映画化ではなく、映像化した意義というものを見せつけてくれる作品となっています。
作品情報
原題:PROJECTHAILMARY
監督:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
脚色:ドリュー・ゴダード
撮影:グレイグ・フレイザー
音楽:ダニエル・ペンバートン
原作:アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(早川書房刊)
出演:ライアン・ゴズリング、ザンドラ・ヒュラーほか
公開日:3月20日(金・祝)~全国の映画館にて公開