京都・南丹市11歳男児遺棄事件:SNS拡散のデマとAIの加担、真相を追う
京都府南丹市で発生した11歳の男児遺棄事件。事件の捜索中に、SNS(旧ツイッターのX)上で根拠のないデマが拡散し、さらに生成AIがそのデマを基にした要約投稿を行ったことが明らかになりました。事件と関係のない施設が特定され、誹謗中傷や業務妨害に繋がる事態に。SNS時代の情報リテラシーの重要性が改めて浮き彫りになっています。
事件概要とデマ拡散の経緯
3月23日から行方不明となっていた男児の遺体は、4月13日に山中で発見されました。警察や消防による捜索が続く中、4月11日頃からX上で、男児と家族に関する不確かな情報が拡散し始めます。特に、男児宅から北へ16キロほどの山あいにある野生鳥獣処理施設が事件に関与しているというデマが広がり、約1830万回も表示された投稿が登場しました。
問題の投稿は、「施設で処理されてしまっていたら、遺体も証拠も出てこないだろう」「警察はそれをわかっていて、事務的に捜索だけしている」といった内容で、施設の職員が事件に関与しているというデマも拡散されました。
施設側の反論と被害
市の担当者は、これらの情報は「全くの虚偽」だと断言します。施設は地元の猟友会が運営しており、常駐職員は存在しないため、「施設職員」という肩書自体が成立しないとのことです。また、事件発生後の施設の出入り記録には、関係者以外の立ち入りは確認されていませんでした。
デマの拡散により、施設には事件との関係を問う電話が殺到し、職員たちは対応に追われ、通常業務に支障をきたすほどでした。中には、名乗りもせず、感情的な言葉をぶつけてくる人もいたそうです。
SNSの投稿数の増加とAIの関与
朝日新聞ニュースメディア開発部の分析によると、事件に関するXの投稿数は、男児の通学用かばんが発見された3月29日、自宅周辺の山中で捜索が行われた4月7日を起点に増加しました。遺体発見の4月13日は、それまでの最多投稿日の2.6倍を超える投稿数となりました。
さらに、生成AI「Grok」が、これらのデマ情報を基に要約した投稿も確認されました。AIが誤った情報を学習し、拡散に加担するという新たな問題も浮上しています。
拡散されたデマの例
事件の捜査状況や家族に関するデマも多く拡散されました。例えば、逮捕された父親の年齢について、警察が発表した37歳に対し、「父親は24歳」とする投稿が多数拡散されたり、父親の外国籍を断定する投稿も確認されました。これらの情報は、いずれも事実無根であることが判明しています。
SNS時代の情報リテラシーの重要性
今回の事件は、SNSの拡散力と、それに伴うデマの危険性を改めて浮き彫りにしました。情報の真偽を確認せずに拡散することは、関係者への深刻な被害をもたらすだけでなく、捜査にも支障をきたす可能性があります。SNSを利用する際は、情報の出所を確認し、冷静な判断を心がけることが重要です。
また、生成AIが誤った情報を学習し、拡散に加担する可能性も考慮し、AIが生成した情報についても、批判的な視点を持つことが求められます。