エホバの証人、国を提訴!宗教虐待の指針は「違憲」と主張
2023年11月、キリスト教系新宗教「エホバの証人」の信者らが、宗教の信者の親を持つ「宗教2世」への虐待に関する厚生労働省の対応指針を巡り、国を提訴しました。指針が信教の自由を侵害しているとして、撤廃と損害賠償を求めています。
問題となっている指針とは?
この訴訟の発端となったのは、2022年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件です。事件後、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)などの宗教2世が虐待被害を訴える声が上がり、厚生労働省は2022年12月に指針を作成しました。
指針では、以下のような事例が具体的に示されています。
- 身体的虐待:むち打ちなど
- ネグレクト(育児放棄):医師が必要と判断した輸血などの医療行為を受けさせない場合
この指針は全国の自治体に通知され、児童虐待の判断基準として活用されています。
エホバの証人側の主張
原告は、教団が設置した法人「ものみの塔聖書冊子協会」と、7都道府県に住む信者の夫婦です。訴状では、指針が作成される際に国民からの意見公募などが行われなかった点を指摘。指針の周知により、原告の親に「宗教虐待の疑いがある者」というレッテルを貼り、教団が児童虐待を助長しているとの印象を与えたと主張しています。
さらに、信者らが深刻な差別に遭っているとし、憲法上保障された信教の自由を侵害していると訴えています。特に、輸血拒否の信仰を持つエホバの証人にとって、指針が医療行為を強制する圧力となり、信仰の自由を脅かすと訴えています。
国側の反論
国側は、意見公募を経る規定はないと指摘。児童虐待の判断について、宗教の信仰に基づくか否かで異なる取り扱いをするものではないと主張しています。また、通知により原告らの権利などが侵害されているとはいえないと反論しています。
今後の展開
こども家庭庁は「係争中の案件なのでコメントは差し控える」としていますが、この訴訟は、児童虐待と信教の自由という、非常にデリケートな問題を提起しています。原告の代理人は「原告らはあらゆる形態の児童虐待を拒んでおり、裁判所による救済を求めている」とコメントしており、今後の裁判の行方に注目が集まります。
この問題は、宗教2世を取り巻く環境や、国家権力と個人の信仰の自由との関係について、改めて考えるきっかけとなるでしょう。