「加害者であり、被害者」佐世保のバーで働く女性が目撃した、戦地から帰還した米兵の涙
日常のすぐそばにある「戦争の影」
長崎県佐世保市。米海軍基地があるこの街の外国人バーで働く31歳の日本人女性にとって、戦地から戻った米兵たちは「お客様」であると同時に、戦争のリアリティを突きつけてくる存在です。彼女の曽祖父は太平洋戦争で戦死しており、自身も戦争の悲惨さを学んで育ちました。しかし、目の前で泣き出す米兵たちを前に、彼女が抱く感情は、教科書で学んだ「善悪」だけで割り切れるものではありません。「彼らは好きで戦地へ行っているわけではない。国に従う加害者であり、同時に被害者でもあるのではないか」という複雑な思いが、日々胸をよぎります。
「無事でいてほしい」SNSで途絶えた交流の記録
中東での任務を終え、佐世保に帰還した米兵たち。最初は張り詰めた空気をまとっていた彼らも、温かい食事や日本の穏やかな環境に触れることで、少しずつ安堵を取り戻していきます。ある米兵は「日本人は戦争を嫌っているから、人を傷つける任務に就いていたことを明かすのが気まずい」と胸の内を明かし、彼女の「お帰り」という言葉に静かに涙を流しました。一方で、彼女には忘れられない女性兵士がいます。SNSで交流していた彼女に送った「すぐに安全な場所へ戻って」というメッセージ。それに対する「ありがとう、無事です」という返信を最後に、連絡は途絶えました。彼女が経験している静かな別れは、私たちが住む世界の裏側で起きている現実を痛烈に物語っています。
平和について考えるきっかけを
かつて自分たちの街(福岡)が空襲で焼かれた歴史を持つ日本人として、また戦場を知る米兵の苦悩を間近で見るバーテンダーとして。彼女が経験する日々は、ニュースの向こう側にある「一人ひとりの人間」の物語です。佐世保という街で交錯する、決して交わるはずのなかった平和への願いと戦争の傷跡。私たちは今、あらためて平和の尊さを考える必要があります。戦争体験者の声が遠くなる現代において、こうした等身大のメッセージが、若い世代が世界情勢に関心を持つきっかけになればと願います。
参考: