世界遺産・国宝の防火対策、目標の3割未着手…首里城の教訓は生かされるのか?
2019年の首里城正殿の焼失、そしてパリのノートルダム大聖堂の火災。これらの痛ましい出来事を受け、文化庁が進めてきた世界遺産・国宝建造物の防火対策が、目標の3割しか達成できていないことが明らかになりました。一体何が課題となっているのでしょうか?
文化庁の5カ年計画と現状
文化庁は、2020年度から始まった5カ年計画で、防火対策が必要な世界遺産・国宝建造物107件を対象に、スプリンクラーの設置や消火設備の更新などを最大85%補助するとしていました。5年間で全ての対策を終える予定でしたが、コロナ禍の影響で計画は6年間に延長。総額約193億円の予算が計上されました。
しかし、今年度末までに完了する見込みは67件、対策に着手しているのは7件にとどまり、実に33件が未着手となっています。
未着手の理由:費用負担の壁
未着手が相次ぐ理由について、文化庁は「規模によっては消火設備の更新や導入に億単位の費用がかかる。補助があっても所有者の自己負担が大きい」と説明しています。つまり、国からの補助金だけでは、文化財を所有する側の経済的な負担が大きく、対策が進まないという状況です。
文化庁は昨年12月、新たな文化財防災対策5カ年計画を策定し、目標を35年度までに延ばしました。しかし、このままでは、首里城のような悲劇が再び起こる可能性を否定できません。
「任意保険」のような防火対策の必要性
文化庁の担当者は、未着手の施設について「車に例えると、自賠責保険には入っているが任意保険に入っていない状態。このままでは文化財を守ろうと思っても守り切れない」と警鐘を鳴らしています。つまり、法律で定められた最低限の防火対策はされているものの、より手厚い対策が不足しているということです。
文化財防火デー:過去の教訓を胸に
1月26日は「文化財防火デー」。1949年に世界最古の木造建築である法隆寺で火災が発生し、貴重な壁画が焼損したことをきっかけに制定されました。この日を機に、改めて文化財の防火対策の重要性を認識し、未来へ繋ぐための行動が求められています。
首里城の焼失は、私たちに文化財保護の課題を突きつけました。この教訓を活かし、日本の大切な文化遺産を守り抜くために、国、所有者、そして私たち一人ひとりが意識を高め、対策を進めていく必要があります。
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