33年ぶり全面リニューアル!国立歴史民俗博物館「近代」室が進化!ジェンダーや移動の視点を取り入れ、新たな近代史を体験
千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の総合展示室第5室「近代」が、約33年ぶりの全面リニューアルを迎え、2024年3月17日から公開されています。今回のリニューアルでは、これまでの近代史の捉え方に加え、ジェンダーや移動といった現代的な視点を導入し、民衆や生活史の視点から近代社会の変容と人々の暮らしをより立体的に表現することを目指しています。
博物館の概要とリニューアルの背景
1981年に設立、1983年に開館した国立歴史民俗博物館は、日本の歴史と文化を語る約28万点の文化財・歴史資料を収蔵。実物資料に加え、精密な複製品や復元模型なども展示し、歴史研究の拠点としても重要な役割を担っています。常設の総合展示室は全6室で、日本の歴史・文化をテーマごとに民衆の視点から紹介しています。
第5室「近代」は1993年から95年にかけて段階的に開室しましたが、開室から約30年が経過し、東アジアの歴史研究や植民地統治研究が大きく進展したことを受け、展示内容の見直しが必要となりました。特に、「戦争・戦時社会」や「人々の移動」といったテーマへのより深い掘り下げが求められ、今回の全面リニューアルに至りました。
新「近代」室の見どころ
新しくなった第5室「近代」の展示は、「<国民>の誕生」「近代化する人びとのくらしと仕事」「<帝国>日本の社会と人びと」という3つのテーマで構成されています。これらのテーマを通して、世界における近代日本社会の歴史を多角的に捉えることができます。
さらに、「3つの視点」として、「アイヌにとっての近代」「琉球・沖縄からみた近代」「『水平』を目指して」といった新たなコーナーが新設されました。これらのコーナーでは、これまで主流だった視点とは異なる、多様な立場からの近代史を学ぶことができます。
また、第5室のリニューアルに合わせて、第6室「現代」の展示冒頭「戦争と平和」の一部も刷新され、より現代社会とのつながりを意識した展示となっています。
博物館側のコメント
国立歴史民俗博物館の研究部歴史研究系教授・大串潤児氏は、同館の展示の特徴について「民衆が向き合った生活史上の諸問題を歴史として表すことにある」と説明。概説や通史ではなく、問題やテーマの歴史に基づいた構成であることを強調しました。
リニューアルについては、「基本的なテーマである生活史、生活の周りに広がる環境史、さらに社会を広くアジア、海外に開いて考える国際交流の視点を基礎にしながら、多様性の視点を重視したい。また、現代的視点を踏まえながら歴史に向き合うことはどのような営みかを考えていきたい」と説明し、多様性やジェンダー、移動といった視点を導入することで、近代社会の構造変容と人々の生活をより立体的に示す展示構成を目指したことを明らかにしました。
今回のリニューアルを通して、国立歴史民俗博物館は、これまでの近代史のイメージを覆し、より深く、より多角的な視点から近代社会を理解できる場となることを目指しています。ぜひ、足を運んで、新たな近代史の発見を体験してみてください。