「空飛ぶマダム」岸恵子さん逝去。93歳、波乱に満ちた国際派女優の美学と軌跡
戦後を駆け抜け「真知子巻き」を社会現象に。伝説の女優・岸恵子さんの素顔
日本映画の黄金期を象徴する大女優、岸恵子(きし・けいこ)さんが7日、老衰のため93歳で亡くなりました。横浜で生まれ、戦後の混乱期にデビューした彼女は、瞬く間に日本映画史にその名を刻みました。特に1953年から公開された「君の名は」3部作でのヒロイン・氏家真知子役は、あまりの人気の高さに当時の女性たちがストールを巻くスタイルを真似するほどで、「真知子巻き」という流行語を生み出したことはあまりにも有名です。その凛とした美しさと知性は、時代を超えて多くの人を魅了し続けました。
フランス映画監督との国際結婚と離婚。世界を舞台に生きた「空飛ぶマダム」
岸さんの人生は、まさに映画以上にドラマチックでした。1956年には、映画監督で医師でもあったイヴ・シャンピ氏と結婚し、フランスと日本を拠点に活躍。「空飛ぶマダム」と呼ばれ、国境を越えて女優業と私生活を両立させる先駆者的な存在となりました。その後、1975年に離婚を経験しましたが、親権を持って一人娘を育て上げながら、市川崑監督の「細雪」や山田洋次監督の「男はつらいよ」シリーズなど、日本を代表する名作に数多く出演しました。常に自分の道を切り開いていく姿勢は、多くの現代女性にとってのロールモデルと言えるでしょう。
最晩年まで衰えぬ知的好奇心。文筆家としての顔も持つ「いまを生きる」人生
女優としてだけでなく、岸さんは晩年まで文筆家としても精力的に活動していました。2021年に出版された自伝「卵を割らなければ、オムレツは食べられない」をはじめ、自身の経験を綴ったエッセーや小説は、読者に「いまを生きること」の大切さを教えてくれました。卒寿を迎えた際にもトークショーで「100歳までは生きたくない」とジョークを交えつつ、最後まで自分の言葉で人生を語り続けました。93歳という長きにわたる旅路を終えた今、彼女が残した数々の名演と、強くしなやかな生き方は、これからも私たちの心に深く残り続けるはずです。
岸恵子さんの詳しい功績については、公式なプロフィール情報などを併せてご覧ください。