「白砂糖とマーガリン…」ママ友の“無添加信仰”に翻弄される30代ワーママの嘆き
共働き世帯が増える現代において、子育てママたちのコミュニティが形を変え、時に「格付け」や「同調圧力」の道具として機能している実態が明らかになっています。特に、子供の健康に関わる「食」へのこだわりは、正論を装いながらも、深刻な精神的・経済的ストレスを引き起こすケースが後を絶ちません。
ママ友との付き合いで「価値観の押し付け」を感じた経験は6割超え
民間調査機関のアンケート調査によると、ママ友との付き合いで「価値観の押し付け」を感じたことがあると答えた人は約6割に上ります。その中でも、オーガニック志向や無添加へのこだわりを周囲に強要したり、遠回しに比較したりする「オーガニック・ハラスメント」とも呼べる事象が、都市部の保育園や幼稚園を中心に散見されています。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、「食の安全性は個人の信条に基づくものであり、本来は尊重されるべきものです。しかし、それをコミュニティ内で『絶対的な正義』として掲げ、他者のライフスタイルを否定し始める時、『組織不全』を招きます。特に時間の限られた共働き世帯にとって、手作りや無農薬の強要は、物理的な負担だけでなく、『良い母親ではない』という罪悪感を植え付ける心理的攻撃に他なりません」と警鐘を鳴らします。
手作りお菓子は“見せかけの善意”?「返報性の呪縛」に陥るママたち
平塚氏はさらに、この「食のマウント」の背景にある承認欲求のゆがみを指摘します。「手作りお菓子を配るという行為は、一見すると善意のプレゼントに見えますが、実際には『これだけの時間と手間、そして高い材料費を子供にかけられる自分』を誇示するパフォーマンスである場合もあります。これを受けた側が、同等、あるいはそれ以上のクオリティで返さなければならないという『返報性の呪縛』に陥ることで、家計のバランスを崩すほどの過剰な出費を強いられる二次被害が発生しているのも事実です。」
実際に、東京都内の認可保育園に通う保護者を対象にした調査では、園外でのママ友交流にかかる費用が、ランチ代やプレゼント代を含め、月額2万円から3万円に達するケースも報告されています。
「グラニュー糖とマーガリンがダメなの?」深夜の苦行に喘ぐワーママの叫び
今回取材に応じたのは、IT企業で時短勤務をする30代のMさん。保育園児の娘がおり、週末には体操教室に通わせています。その体操教室のママ友グループ内で始まった「おやつ交換会」という名の、底なしの沼に足を踏んでしまったといいます。
「始まりは、グループのリーダー格であるAさんが『うちの食教育は無添加だから。市販のポテトチップスには添加物が山盛りで、子どもには食べさせたくないよね』と、オーブンで焼いた手作りのポテトチップスと無添加クッキーを配り始めたことでした。最初は『すごいね!ありがとう』と感謝していましたが、次第に『次は誰の番?』という空気が漂い始め、逃げ場がなくなりました…。私が老舗のデパートで買ってきたお菓子を差し出した際、Aさんが成分表示をじっと見て『あら、グラニュー糖(白砂糖)とマーガリンが使われているのね。うちは甜菜糖(てんさいとう)しか使わないから、これは大人用にしましょう』と、子供たちの前で突き返したんです。Aさんは無添加とオーガニックの信者みたいな人だと知りました…。」
Mさんは続けます。「その時の屈辱感と、周りのママたちの冷ややかな同情の目は忘れられません。グラニュー糖とマーガリンのどこがいけないのよ…。今では毎週深夜に鬼の形相で、一袋2,000円の有機小麦粉とアルミニウムフリーのベーキングパウダーを使ってお菓子を焼いています。これはもう、交流ではなく、私にとっては『苦行』です……。」
善意という名の包み紙に隠された、残酷な選別とマウント。私たちの日常に潜む「丁寧な暮らし」の正体は、誰かを追い詰める刃になっていないだろうか。
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