東日本大震災の広域避難者支援:生活再建を繋ぐ「まるっと西日本」の取り組み
2011年3月に発生した東日本大震災から13年。故郷を離れ全国各地へ避難した「広域避難者」への支援活動が今も続いています。今回は、近畿地方への広域避難者を中心に活動してきたNPO「まるっと西日本」の取り組みに迫ります。
「人間の復興」を後押しするシステムを
「まるっと西日本」代表世話人の古部真由美さん(53歳)は、災害は弱者にしわ寄せがいくことが多いと指摘します。「被災者の『人間の復興』を後押しするシステムが必要なんです」と語ります。
古部さんは、震災当時、家族と共に茨城県つくば市に住んでいました。大きな被害はなかったものの、出身地の大阪に戻り、福島などからの避難者支援のボランティアを始めました。
祖母の悲しみと避難者の言葉が重なった瞬間
ボランティア活動を通じて、多くの避難者が口にした「なんで私がこんな目に遭うのか」という嘆きが、古部さんの心に深く響きました。それは、自身の祖母の被災体験と重なる部分があったからです。
「祖母は、戦災と台風で2度も家を失いました。家を失うことの情けなさ、恥ずかしさを繰り返し語っていました。働きづめで身なりを構う余裕もなく…祖母の悲しみの記憶と、避難者の言葉に通ずるものを感じました。」
情報誌の発行で支援の輪を広げる
困窮する避難者の状況を少しでも改善したいと、福島からの避難者と共に「まるっと西日本」を設立。生活再建に必要な自治体からの情報や、避難者同士の交流会などをまとめた情報誌の発行を開始しました。
古部さんのグラフィックデザインの経験と、研究機関での広報の仕事の経験が活かされました。「震災直後は、年間に9回程度発行しました。支援制度の利用を促すため、重要な情報を目立つようにレイアウトし、分かりやすさを重視しました。」
情報誌の発行費用は、企業のCSR活動に理解を求めることで、費用の提供を受けながら賄いました。交流会で配布された情報誌を通して、居住自治体の支援情報に初めて触れる避難者も多く、支援金などの申請を促すことで、生活再建をサポートしました。
古部さんは、「故郷を離れ、気が落ち込んでいる避難者の方々に、見過ごしてしまう支援を届けたい」と、これからも活動を続けていく決意を語っています。