職場での嫌がらせで退職決意も…会社が損害賠償で引き止めるのは違法?【専門家が解説】
職場での人間関係の悪化や嫌がらせに悩む25歳の男性Aさん。上司に相談しても理解を得られず、退職を決意したものの、会社側から損害賠償を請求される可能性を提示され、困惑しています。このような状況は本当に許されるのでしょうか?今回は、社会保険労務士の小島朋子さんに、退職を巡る労働問題について詳しく解説してもらいます。
嫌がらせで精神的に追い詰められ退職を決意
Aさんは、部署異動をきっかけに社内での人間関係が悪化。同僚からは必要な情報が共有されず、無視されたり陰口を言われたりと、精神的に追い詰められてしまいました。上司に相談しても「お前が悪い」と一方的に責められ、我慢の限界を超えたAさんは退職を決意しました。
退職を理由に損害賠償請求は違法?
しかし、退職の意向を伝えると、上司は人手不足を理由に引き止め、「退職するなら損害賠償を請求する」と発言。会社が退職を認めず、損害賠償を請求することは本当に可能なのでしょうか?
小島先生によると、退職そのものを理由に会社が労働者に損害賠償を請求することは原則として認められていません。ただし、以下のケースでは損害賠償請求の可能性も否定できません。
- 期間の定めがある雇用契約において、やむを得ない事由なく契約期間中に一方的に退職した場合
- 期間の定めがない場合でも退職の申し出から2週間以内に無断で退職し、業務に著しい支障を生じさせた場合
在職強要は違法!損害賠償請求も
さらに、会社が労働者の退職の意思に反して就労を強制する行為は、労働基準法第5条に定める「強制労働の禁止」に抵触する可能性があります。違反した場合は、懲役や罰金が科せられることもあります。
過去の事例では、広告代理店での在職強要に対し、会社側に慰謝料5万円の支払いが命じられたケースもあります(2016年「広告代理店A社元従業員事件」福岡高裁判決)。
在職を強要されたらどうすればいい?
もし、会社から在職を強要された場合は、一人で悩まず、以下の専門機関に相談しましょう。
- 社会保険労務士
- 弁護士
- 労働基準監督署
退職時の注意点
退職する際は、就業規則に定められた手続きや引継ぎルールを遵守することが望ましいです。また、労使双方が冷静に話し合い、業務の引継ぎを円滑に進めることが重要です。
今回のケースのように、嫌がらせや上司の理解不足から退職を決意した場合、専門家への相談を検討し、自身の権利を守ることが大切です。