暴動を描いたフランス映画『憎しみ』がプレミア化!なぜ中古市場で高騰するのか?
かつて一世を風靡したDVDやVHSが、サブスクリプションサービスの普及により旧世代の媒体と見なされることもありますが、それは必ずしも真実ではありません。名優のデビュー作や映画史に残る重要な作品が、配信されないために中古市場で熱狂的なファンからの注目を集め、価格が高騰するケースが後を絶ちません。今回は、そんなマニアの愛が冷めない作品の中から、中古市場で高値で取引されている海外映画を5本セレクト。その第5回として、マチュー・カソヴィッツ監督の傑作『憎しみ』(1995年)をご紹介します。
作品の概要:パリ郊外を舞台にした緊迫の24時間
『憎しみ』は、移民や低所得者が多く暮らすフランス・パリ郊外の地区、バンリューを舞台に、若者たちの運命を描いた作品です。警官による若者への暴行をきっかけに発生した暴動。その混乱の中、主人公のサイード(サイード・タグマウイ)は友人ヴィンス(ヴァンサン・カッセル)とボクサーのユベール(ユベール・クンデ)と共に、事件の行方を追います。しかし、ヴィンスが暴動中に紛失した警官の拳銃を拾ったことから、事態は予想外の方向へと転がり始めます。
社会問題を鋭く描いた問題作
本作は、警察と住民の対立、移民の孤立、行き場を失った若者たちといった、現代社会が抱える社会問題を真正面から描き出しています。モノクロ映像で緊迫感を増し、社会に刻まれた亀裂と若者たちの焦燥を鮮烈に表現しています。マチュー・カソヴィッツ監督は、当時まだ20代にして第48回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。ヴァンサン・カッセルにとっても出世作となりました。ちなみに、カソヴィッツ監督は、後に『アメリ』(2001年)でニノ役を演じた俳優としても知られています。
なぜ今、高騰するのか?コレクターズアイテムとしての価値
『憎しみ』は、社会問題を扱ったフランス映画の先駆けとも言える作品ですが、映画ソフトの世界でも特異な位置を占めています。日本盤のDVD、VHS、さらにはBlu-rayも既に廃盤となり、中古市場では高値で取引されています。Amazonプライムビデオなどの配信サービスで視聴可能にも関わらず、ディスク価格が下がる気配がないほどです。コレクターズアイテムとして、その価値を高めていると言えるでしょう。
映画ファンはもちろん、社会問題に関心のある方にもぜひご覧いただきたい作品です。中古市場での価格高騰は、本作の芸術性と社会性が、時代を超えて多くの人々に評価されている証と言えるでしょう。