「ばけばけ」と『レンタル・ファミリー』が映し出す、日本社会のリアルな家族観
現在放送中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」と、公開されたばかりのHIKARI監督作品『レンタル・ファミリー』。一見異なる作品ですが、「父親像に恵まれなかった西洋人男性が日本で家族の温かさと難しさに気づく」という共通点に、日本社会の本音と建前が浮き彫りになる、興味深い符合が見られます。
「ばけばけ」と『レンタル・ファミリー』の共通点
「ばけばけ」の主人公、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、幼少期に両親の愛情を知らず、孤独な少年時代を過ごしました。一方、『レンタル・ファミリー』もまた、自身のルーツに悩む外国人が、日本の家族を通して心の隙間を埋めていく物語です。「家族」という普遍的なテーマを通して、両作品は「愛情」「孤独」「絆」といった感情を深く掘り下げています。
日本社会の家族観:建前と本音
小泉八雲は、日本での結婚生活を通して日本の家父長制を研究し、自身の「父性」を再発見したと言われています。彼の著作『日本一つの解明』では、日本社会を「家父長制家族」として捉え、そのシステムが個人の自由を抑圧する一方で、道徳的な結束を生み出すと分析しています。
しかし、日本の伝統的な家族観は、近代化と共に変化しつつあります。ドラマ「日本の面影」では、八雲の繊細な感情に家族が過敏に反応する様子がコミカルに描かれており、家族間の気遣いや配慮が、時に建前として機能している様子が伺えます。小泉せつの回想録にも、曲がったことが嫌いな八雲が、家族の反応を楽しむ様子が描かれています。
「ばけばけ」が示唆する、日本の家族の未来
八雲が愛した父長制度は、現代ではその形を変えつつあります。しかし、家族の温かさや絆を求めるという人間の根源的な欲求は、今も変わらず存在します。『レンタル・ファミリー』のように、多様な家族の形が認められる社会へと変化していく中で、私たちは「家族とは何か」を改めて問い直す必要があるのかもしれません。
「ばけばけ」と『レンタル・ファミリー』は、日本社会の家族観を多角的に捉え、本音と建前が入り混じる複雑な人間関係を描き出しています。これらの作品を通して、私たちは家族のあり方について深く考え、より良い社会を築いていくためのヒントを得ることができるでしょう。