第2次トランプ政権の国家防衛戦略とインド太平洋:日本への影響と対応
2026年1月に発表された米国の「国家防衛戦略(NDS)」は、インド太平洋地域への継続的な関与を明確に打ち出しました。しかし、トランプ大統領の判断には依然として不確実性がつきまとうため、国際政治の構図を揺るがす可能性を秘めています。この記事では、NDSの内容を分かりやすく解説し、日本がどのようにトランプ政権と向き合っていくべきかを、米国の世界戦略に詳しい慶應大法学部の森聡教授の分析を基に考察します。
NDSにおけるインド太平洋の位置づけ
今回のNDSでは、米国にとっての優先順位として「西半球」と「インド太平洋」が掲げられました。一方で、「欧州」「中東」「朝鮮半島」は非優先化されています。森教授は、この優先順位付けは日本にとって決して不利ではないと指摘します。
まず、インド太平洋地域が経済成長の中心地であり、その平和と繁栄が米国の国益に直結するという認識が明確に示されている点が重要です。これは、米国がこの地域への関与を継続し、同盟国やパートナーを防衛するコミットメントの信頼性を高めることにつながります。
「拒否的抑止」と日本の役割
NDSでは、第一列島線に沿った「拒否的抑止」を確立するというトランプ政権の方針も打ち出されています。これは、米国が率先して現状を防衛し、中国による地域覇権を許さないという強い意志を示しています。森教授は、この点は欧州の扱われ方と対照的であり、日本にとって歓迎すべきものだと述べています。
日本は、豪州と協力し、米国を巻き込んでいくことが重要です。特に、東南アジアへの関与がどうなるかは不透明なため、日本が主導的に地域との連携を深める必要があります。
国防予算と日米協力
連邦議会が採択した2026年国防権限法(国防予算)にも、インド太平洋地域に関する重要な項目が含まれています。これらは、インド太平洋軍(INDOPACOM)の戦力強化、台湾への支援、地域の同盟国・パートナーとの安全保障・防衛協力の強化を目的としており、日本にとって心強い内容と言えるでしょう。
日米の間では、武力による現状変更を抑止し、いかなる国による地域覇権も阻止するという戦略目標が共有されています。日本は防衛力の強化に努め、インド太平洋軍との連携を強化することで、この目標の達成に貢献していく必要があります。また、防衛産業の活性化と共同生産にも取り組むことで、日米の安全保障協力体制をさらに強固なものにすることが期待されます。
トランプ政権との付き合い方は決して容易ではありませんが、日本はNDSの内容を正確に理解し、自国の国益を守りながら、日米同盟を基軸とした外交・安全保障戦略を推進していくことが求められます。