中小企業、賃上げに「疲れ」の声…インフレ加速で春闘は難航か?
大手企業の高水準賃上げが話題となる中、中小企業では「賃上げ疲れ」が深刻化しています。中東情勢の緊迫化によるインフレの加速も重なり、中小企業の2026年春闘は、価格転嫁の成否が鍵を握るとみられています。
中小企業の厳しい現状
働く人の7割を雇用する中小企業こそ、日本経済の活性化には欠かせない存在です。しかし、その実態は厳しいものがあります。日本商工会議所の調査によると、26年度の賃上げを「行わない予定」と回答した企業は25.0%に上ります。また、「実施予定」と回答した企業の多くも、業績改善を伴わない「防衛的賃上げ」を検討しており、深刻な人手不足に対応するための措置であることが伺えます。
人件費の負担が大きい中小企業
企業が利益を人件費に回す割合を示す「労働分配率」は、大手企業がおおむね3割台であるのに対し、中小企業は7割台と高い水準です。限られた利益から高い比率で人件費を捻出しているため、中小企業は「賃上げ疲れ」を感じやすい状況にあります。
日銀短観によると、25年度の売上高経常利益率は大企業が9%超であるのに対し、中小企業は4%超と開きがあります。原材料コストの増大が見込まれる中、大企業が取引先へのコスト転嫁を受け入れなければ、中小企業が賃上げの原資を確保することはますます難しくなります。
価格転嫁を後押しする法改正
26年1月には、発注企業に受注企業との価格交渉を義務付ける中小受託取引適正化法(取適法)が施行されました。この法改正が、中小企業の春闘にどの程度効果を発揮するのか、注目が集まっています。
中小企業が賃上げを実現するためには、コスト上昇分を適正に価格に転嫁することが不可欠です。政府の取り組みと合わせて、中小企業自身の価格交渉力強化が求められます。