元照ノ富士2階級降格は甘すぎる?角界と世間の“ねじれ”を徹底解説
元横綱・照ノ富士が親方として2階級降格処分を受け、相撲界に再び波紋が広がっています。2月に弟子の伯乃富士への暴力が発覚し、相撲協会から下された処分は、世間から「甘すぎる」との声も。今回の騒動を巡り、角界と世間の認識のずれが生じている背景には何があるのでしょうか?
暴力を巡る相撲界の“甘さ”?
今回の処分に対し、スポーツ紙などのメディアは厳しい論調で報じています。作家で相撲専門誌記者経験もある須藤靖貴氏は、「また、大相撲の親方がやらかした」という世間の印象が拭えないと指摘します。暴力行為は絶対悪であり、指導監督の立場にある親方の加害行為は看過できないという意見は多く、処分が甘いのではないかという声が上がっています。
しかし、月刊誌「相撲」の藤本泰祐編集長は、情状酌量ポイントも存在すると分析します。暴力が日常的な暴行ではなく、教育的指導の側面があったこと、そして伊勢ケ浜親方が自ら暴行の事実を協会に申し出たことなどが考慮されたと考えられます。特に、隠蔽しなかった点が大きな要素だったようです。
一貫性に欠ける過去の処分事例
親方の弟子への暴力事件と言えば、2007年の時津風部屋力士暴行事件も記憶に新しいでしょう。あまりに酷い事件だったため詳細は割愛しますが、被害者が序ノ口力士であったにも関わらず、親方が逮捕されるほどの事態となりました。しかし、部屋自体は閉鎖されませんでした。
近年では、2020年7月の中川部屋の一件も注目を集めました。弟子3人への暴力や暴言が発覚し、中川親方は2階級降格、中川部屋は閉鎖されました。悪質性が高かったとはいえ、部屋の取り潰しは苛烈との声も上がりました。
また、角界追放となった大横綱・白鵬の処分との比較もされています。白鵬は自ら手を挙げたわけではありませんでしたが、親方になる際に前代未聞の誓約書を交わしており、“保護観察中”の状態でした。白鵬の処分を引き合いに出すことは、今回のケースには必ずしも適切ではないかもしれません。
なぜ意見が割れるのか?
今回の処分に対する意見が割れる背景には、日本相撲協会の処分に一貫性が欠けるという問題があります。史上最悪の死亡事件の舞台となった部屋が存続するなど、過去の事例との比較で「甘い」「厳しい」といった意見が噴出するのは当然と言えるでしょう。
コンプライアンス意識の高まりが時代の趨勢であるにも関わらず、角界の事件の処分は一貫性に欠ける傾向があり、それが今回の騒動における意見の対立を招いていると考えられます。
今回の元照ノ富士親方の処分は、相撲界が抱える問題点を改めて浮き彫りにしました。今後は、より透明性の高い処分基準を設け、一貫性のある対応を行うことが求められます。