「戦争をすれば、犠牲になるのは自分たち」84歳の遺族が語る、戦争の記憶と平和への願い
一度も会えなかった父。戦後81年を迎えて抱く危機感とは
8月15日の「終戦の日」を前に、全国戦没者追悼式で遺族代表を務める金森武士さん(84歳)が取材に応じました。金森さんが生後わずか1週間で出征し、フィリピンで戦死した父・伊作さんの記憶をたどりながら、今の社会へ「戦争の風化」に対する強い危機感を語っています。
父は「戦車撃滅隊」として散った。残されたのは空襲の記憶だけ
金森さんの父・伊作さんは、フィリピンの激戦地・ルソン島で爆弾を抱えて米軍戦車に立ち向かい、32歳の若さで命を落としました。父の遺骨は今も戻っておらず、金森さんの元には写真や手紙すらほとんど残っていません。幼い頃、家族団らんの風景を見るたびに「父と一緒にお酒を飲みたかった」という寂しさを抱えてきたといいます。自身も幼少期に空襲を経験し、家を焼失した記憶を持つ金森さんは、戦争が個人の生活をいかに無残に壊すかを身をもって知っています。
「一体でも多く帰してほしい」今も続く遺骨収集の現実
海外で戦死した約240万人のうち、いまだ約112万柱が未回収です。金森さんは何度もフィリピンへ渡り、遺骨収集に参加してきました。豚小屋の下から発見された遺骨を目の当たりにし、言葉にできない悔しさを感じたといいます。戦場跡地に民家が建つなど収集は年々困難になっていますが、「できるだけ、一体でも多くの遺骨を故郷に帰してほしい」と切実な願いを明かしました。
「自分たちに関係ないことではない」次世代へつなぐ平和のバトン
平和な暮らしが長く続く現代において、戦争をどこか「遠い世界の話」だと感じてしまう人が増えていることに、金森さんは懸念を抱いています。世界で戦火が絶えない今だからこそ、「戦争をすれば犠牲になるのは自分たちだ」という教訓を忘れてはいけません。金森さんは、自身の追悼の辞に「戦没者の犠牲を次世代へ語り継ぐことこそが使命」という言葉を込めました。過去の悲劇を繰り返さないために、私たちが今できることは何か。金森さんの言葉は、改めて平和の意味を問いかけています。
※追悼式の詳細や、過去の記録については