消費税減税は効果なし?ドイツ・英国の事例から見えた落とし穴…国民会議で議論開始
26日に始まった「社会保障国民会議」で、食料品への消費税減税が議論の焦点となりました。しかし、過去の海外事例では、消費税減税が必ずしも家計に十分な恩恵をもたらさなかったケースがあることが判明。物価高騰と人手不足が続く日本で、本当に減税は効果があるのか、慎重な検討が求められています。
過去の海外事例から学ぶ消費税減税の課題
新型コロナウイルス感染症のパンデミック時などに、ヨーロッパ各国では消費税減税が実施されました。しかし、その効果は限定的だったようです。ドイツや英国の事例を見ていきましょう。
ドイツの場合:小売価格の減少はわずか1.3%
ドイツでは2020年7月から半年間、標準税率を19%から16%、食料品などの軽減税率を7%から5%に引き下げました。しかし、独ifo経済研究所の分析によると、スーパーの小売価格の減少はわずか1.3%にとどまり、家計への恩恵は減税分の約7割程度だったとのことです。
財務省の資料からも、マクドナルドのハンバーガーやスターバックスのアイスコーヒー、家電量販店の電池、駅のビールなど、減税後も価格が変わらない事例が多数報告されています。小売業者や外食店が減税分を利益として吸収し、価格を維持したと考えられます。
ヨーロッパでは「総額表示」が一般的であるため、消費税減税が価格に反映されなくても消費者の反発は小さかったことも、価格維持を可能にした要因の一つでしょう。
英国の場合:減税効果は期待より小
英国ではリーマン・ショックを受け、2008年12月から13か月間、標準税率を17.5%から15%に引き下げました。しかし、英財政研究所(IFS)の分析では、減税開始から数か月後には小売価格が上昇基調に転じ、減税前の価格に戻る商品もありました。「(減税効果は)期待よりやや少なかった」と結論付けています。
日本の現状と消費税減税の難しさ
東京財団の森信茂樹シニア政策オフィサーは、日本で消費減税を実施した場合についても、「物価上昇と人手不足の中、(小売業者が)減税分の価格引き下げを行うかは極めて疑わしい」と指摘しています。つまり、海外の事例と同様に、減税分が消費者に還元されず、企業の利益になる可能性が高いということです。
国民会議での議論では、これらの海外事例を踏まえ、消費税減税が本当に家計を支援できる効果的な手段なのか、慎重に検討される必要があります。他の支援策との比較や、物価高騰対策との連携なども視野に入れ、より効果的な政策を模索していくことが重要です。