スタートアップ業界で相次ぐ女性起業家への性加害問題、対策求める声広がる
スタートアップ業界で、女性起業家が投資家などから性加害を受ける事例が相次いでいます。調査では半数以上が被害を経験したと回答しており、起業家を守る制度の課題が浮き彫りになっています。自身の経験を基に、法整備に向けた提言や被害者支援を行う松阪美穂さんを取材しました。
「投資相談」の裏に隠された罠
PR会社を経営する松阪美穂さんは、新規事業の立ち上げのために投資家との面談を重ねる中で、事業とは関係のない不適切な誘いを受けることがあったと言います。「投資の相談のはずが、いつの間にかデートの誘いになる」「エロは正義だから、誰も傷つけないんだよ」といった言葉や、アダルト映像の話題を持ち出されるなど、ビジネスの場とは思えない言動に恐怖を感じたそうです。
さらに、別の男性経営者からのアドバイスを受けるためカフェで面談を重ねていたところ、ある日住居兼オフィスに誘われ、性的暴行を受けました。精神的に限界を迎えて事業から撤退せざるを得なかった松阪さんは、加害者に対して直接抗議しましたが、その直後に自身の事業アイデアが流用された疑いや、取引先の連絡が途絶えるなど、二次被害も経験しました。
起業家が抱える脆弱性
起業家は労働法などで保護されにくく、「資金を握る側」と「投資を受ける側」の非対称な関係の中で、被害が表面化しにくい構造があります。松阪さんは、民事訴訟を起こし一部主張が認められましたが、失われた取引や信用は戻らず、訴えた後の孤立や取引停止といった二次被害が事業継続を困難にしました。
法整備と被害者支援の必要性
松阪さんのように、性加害によって起業家としてのキャリアを断たれてしまう女性たちが後を絶ちません。こうした問題に対し、女性起業家らは連携し、法整備に向けた提言や被害者支援に乗り出しています。起業家としての信用を取り戻すことが難しい現状を踏まえ、被害者への経済的支援や、再起を支援する仕組みづくりが急務です。
スタートアップ業界における性加害問題は、個人の尊厳を傷つけるだけでなく、イノベーションの阻害にもつながりかねません。社会全体でこの問題に向き合い、誰もが安心して起業できる環境を整備していく必要があります。