東日本大震災から15年…石巻西高校の探究学習が育てる“次の担い手”
東日本大震災から15年。宮城県東松島市では震災の影響で人口流出が深刻化する一方、石巻西高等学校では地域と連携した探究学習プログラムが、地域を支える“次の担い手”を育成しています。生徒たちは震災を単なる知識として学ぶのではなく、地域の人々との対話を通して課題解決力や地元への愛着を育んでいます。
震災から15年、石巻地域の現状と課題
東日本大震災から15年が経過し、石巻地域では復興公営住宅の建設や交通インフラの整備が進んでいます。しかし、石巻市、東松島市、女川町の3市町ではこの10~15年で約3万人が減少しており、人口減少と少子化が課題となっています。小中学生の学力や体力低下も懸念されており、学校と地域との連携不足が背景にあると指摘されています。
石巻西高等学校の髙橋好伸教頭は、「復興の状況は地域によって異なり、まだ心の傷を抱えている方もいる。しかし、少しずつ未来に向かって考えられる人が増えている」と現状を語ります。
探究学習プログラムの背景と目的
石巻西高等学校は、人口減少や少子化による学校統廃合の危機感から、進学実績だけでなく「石巻西高校に入らなければ得られない魅力」を創出する必要性を感じました。そこで2019年度から、地域と連携した探究学習プログラム「震災を乗り越え持続可能な未来社会を創造する市民の育成プログラム」を開始しました。
平岡拓先生は、「以前は生徒の自己肯定感の低さや主体性の不足が課題だった。このプログラムを通して、地域と学校が協働し、持続可能な地域の未来を自ら築いていける人材を育成したい」とプログラムの目的を説明します。
探究学習プログラムの内容
このプログラムでは、3年間を通して6つの力(地域社会貢献、自己調整力・自己決定力、学び続ける力、達成感と自尊感情、対話力・共感力・合意形成、他者と関わる力)を段階的に育成します。
1年次は「街ライブラリー」と称し、地域の企業や店舗、農園などが抱える課題(ミッション)を生徒が受け取り、調査・検討を行います。2年次は「街クエスト」と題し、生徒自身がテーマを設定し、フィールドワークを通して課題解決に取り組みます。3年次は「地域課題研究」で、これまでの探究活動を土台に、地域の課題と本格的に向き合います。
生徒たちは、一般財団法人「まちと人と」の協力を得ながら、企業へのヒアリングや市役所への取材など、主体的に活動を進めています。プログラムを通して、地元での大学進学や就職を選ぶ生徒も増加傾向にあります。
この探究学習プログラムは、震災の記憶を継承し、持続可能な地域社会を築くための重要な一歩となるでしょう。